牛乳プリンで新たな市場創出へ。オハヨー乳業の挑戦

牛乳プリンで新たな市場創出へ。オハヨー乳業の挑戦

2020年春、オハヨー乳業の「ジャージー牛乳プリン」が「牛乳プリン市場シェアNo.1」を掲げたパッケージに変更されました。1999年に発売を開始して20年以上、2度の販売休止や25回のパッケージリニューアルなどを経て、多くの人から愛される看板商品へ成長した過程を、オハヨー乳業株式会社 商品担当の田村さんと広報の野崎さんにお話をうかがいました。

乳業メーカーならではのミルクの美味しさ

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Q. ジャージー牛乳プリンは、どういった経緯で誕生したのでしょうか?

弊社のヒット商品のひとつに、1992年に発売した「焼プリン」がありますが、それに続くデザートとして、乳業メーカーとしてミルクのおいしさを活かした商品開発に着手しました。牛乳プリンは、一般的にカスタードプリンのいちフレーバーにすぎず、牛乳寒天の延長線上と捉えられがちです。地元岡山のジャージー牛乳を使うことによって、その既成概念を打ち破った弊社ならではのプレミアムな牛乳プリンを作ろう、と。

Q. ジャージー牛乳と一般的なホルスタインの牛乳との違いはどういったところにありますか?

ジャージー乳の生産量は、牛乳全体の1%にも満たないほど希少。一般的なホルスタインの牛乳よりも、乳脂肪分や乳たんぱくが多くコクがあります。その濃厚さを活かした、リッチな牛乳プリンを目指しました。

Q. 商品開発にはどんな苦労があったのでしょうか?

牛乳を冷やし固めるだけだと、味が単調でさっぱりしすぎてしまうため、デザートとしてうまく設計できませんでした。牛乳プリンの上にクリームをのせ、2層式にすることにしたのですが、今度は、店頭に並べるまでの物流で商品が崩れないようにする配慮や、クリームは品質管理が難しいので雑菌などが繁殖しないようにする品質の保護などが課題となりました。クリームの調整や製造工程の改良を重ね、設備の増強などを経て、ようやく商品化へこぎつけました。

リニューアルを重ねてヒット商品へ

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Q. 出来上がった商品の反応はいかがでしたか?

牛乳に雑味や乳臭い感じがなく、スーッと溶けるようなやさしい味わい。試作品の段階で評判は上々でしたが、発売後の売上はふるいませんでした。ジャージー牛の認知度も低く、商品のプレミアム感がうまく伝わらなかったことが原因です。実際の生活者にとって牛乳プリンはもっとも日常的に浸透している存在で、購入シーンや購入層にズレがありました。その後もパッケージに高級感を加えたり、別のブランド名を持たせたりしましたが、うまく定着せず、販売休止になったことが2度もあります。

Q. そこから風向きが変わったのはいつ頃ですか?

2016年にパッケージをリニューアルした後です。ブランドの路線をミルクの優しさや手作り感を想起させる印象を目指して、パッケージをデザートショップで売っているような「フタを折り込んだ特殊な形態」にリニューアルしました。この10mmの折り返しがデザート売り場の中でもいい意味で異質さを放ち、売上がグッとあがりました。

2017年にはクリームを改良し、パッケージもブラッシュアップ。2020年の春には、25回目のリニューアルをおこないました。おかげさまで、順調に売上を伸ばして、弊社の看板商品の仲間入り。ジャージー乳のプレミアム感とミルクのやさしさを合わせもった、皆さんに価値が伝わる商品に仕上がり、手応えを感じています。コロナの影響で消費行動が変わるなかでも、牛乳プリンも多くの方に手に取っていただけました。

牛乳プリン市場を広げるべく、
新たなメッセージを発信

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Q. ミルクのやさしさ、美味しさを軸に新たな牛乳プリン市場を作られたというわけですね。今後の展開についてはいかがでしょう?

これまで築いた「牛乳プリン市場シェアNo.1」のベースに、新たなメッセージを発信して次なるポジションを獲得していきます。日本人はプリン好きが多いのですが、実はその中で実際に購入してくれるのは約6割。悲しいことにシュークリームやパフェなどの進化により、プリン市場だけでいうと縮小しています。牛乳プリンを愛していただくにはプリンを食べたいときに選んでもらうよりも、「やさしさに包まれたいから、牛乳プリンを食べたい」シーンを定着させていくことが重要だと考えています。


Q. 朝食にヨーグルト、お風呂上がりにアイスのようなイメージでしょうか?

ジャージー牛乳プリンでいうと、在宅ワークや家事の合間などの肩の力を抜きたいときや、家族の団らんのひとときが挙げられます。掲げるメインメッセージは、「ミルクは愛」です。私たちが直感的に感じるミルクの安心感を訴求しつつ、弊社の牛乳プリンならではのやさしい味わいがフィットするような瞬間を提案していきます。牛乳プリンの固定概念を越え、ニューノーマル時代にマッチする心安らぐデザートとして昇華できれば、市場の確立に勝機があると思っています。

こうした点から、まずは20〜30代の女性へのアプローチを考えています。具体的には、一人暮らしで仕事に頑張っている方ですね。カロリーはおにぎり一個分で、ランチや仕事終わりのデザートとして、日常に寄り添うイメージで。

Q. 新しい展開が楽しみですね!発売当初を振り返っていかがですか?

当時はヒットする確信まではないものの、乳業メーカーの良さを凝縮した商品であり、この商品こそデザート事業の主力になるべきだと思っていました。なぜこんなに美味しい商品が売れないのか、これじゃないと満足できないお客さまがいるはずだと、悔しさを噛み締めていた時期も。このプロダクトに対して愛を持って取り組んでいた甲斐があって、2016年にヒット。多くの方にご愛顧いただきCMが打てるまでになったので、これからが本当に楽しみです。

市場創出までの足跡、そして今後

■乳業メーカーならではの「牛乳」を推しだしたプロダクト
■牛乳の美味しさにとことんこだわり抜いた味わい
■ブランド路線を「プレミアム感」から、日常に寄り添う「やさしさ」に変更
■やさしさ、手作り感をイメージした商品パッケージへ変更
■購入シーンを想定した牛乳プリンの市場づくりへ

看板商品となるまでの道のりからも、プロダクトへの愛がうかがえる「ジャージー牛乳プリン」。新たなメッセージを携え、牛乳プリン市場をさらに切り開いていくことでしょう。

▶ジャージー牛乳プリンのブランドサイト:https://www.ohayo-milk.co.jp/brand/jersey/
2020年10月から開始したテレビCMも視聴できます。



writing support:Akira Fukui





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