「Go To Eat」が飲食店や消費者に与える影響

「Go To Eat」が飲食店や消費者に与える影響

2020年10月から始まった「Go To Eatキャンペーン」。先だって実施されている旅行事業者向けの「Go Toトラベルキャンペーン」は利用者が多い一方で、トラブル対応に追われる宿泊事業者などからは戸惑いの声が挙がっています。新たな試み「Go To Eatキャンペーン」は、飲食店事業者にとってどのような影響があるのでしょうか。

Go To Eatキャンペーンとは

Go To Eatキャンペーンは、国(農林水産省)が実施する新型コロナウイルスの打撃を受けた農林漁業者や感染予防対策に取り組む飲食店を支援するための施策です。

このキャンペーンは、登録店で使える「プレミアム付食事券の発行」と、飲食店予約でポイントが付与される「飲食予約によるポイント付与」の2つの制度が軸となっており、普段よりお得に飲食ができるようにすることで、生活者の外食の機会を増やす狙いがあります。

Go To Eatキャンペーンの2つの制度

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生活者がこのキャンペーンを利用するには、事前にプレミアム食事券を購入するか、該当の飲食予約サイトを通してオンラインで予約する必要があります。

プレミアム付食事券の購入・利用方法

プレミアム付食事券は、購入価格に25%分のプレミアムが付いており、キャンペーンに登録している地域の飲食店で使用できます。地域ごとに設置された事務局から発行し、2020年11月初旬ごろから順次発売開始。使用期限は2021年3月末までを予定しています。

食事券の販売単位は事務局によって異なり、10,000円分(購入価格8,000円)を1セットとする地域、5,000円分(購入価格4,000円)を1セットとする地域などがあります。利用者はどの地域でどの食事券が使えるのか、1セットの販売単位などを事前に調べておかなければなりません。

オンライン飲食予約によるポイントの利用方法

2020年10月より始まっている「飲食予約によるポイント付与」は、Go To Eatキャンペーンに加盟するオンライン予約サイトから予約をして食事すると、Go To Eatポイントがもらえる制度です。

1人あたりのポイントとして、ランチは500円以上の飲食で500ポイント、ディナーは1,000円以上の飲食で1,000ポイント付与され、最大1回の食事につき10人分10,000ポイントまで獲得が可能。次回以降の飲食時に登録店全店で使用できます。

(※その後、11月13日農林水産省より発表された、Go To Eatに関する予算上限額への到達見込みを受け、主要予約サイトではそれぞれ、新規予約のポイント付与終了を発表しています。)

プレミアム付食事券、オンライン予約のポイントともに、利用期限は2021年3月末までとなっています。
 
飲食店のGo To Eatキャンペーン登録について

飲食店側がGo To Eatキャンペーンに参加するには、プレミアム付食事券の利用対象店舗、オンライン飲食予約対象店舗へ、それぞれに登録が必要です。

現在キャンペーンに登録できるのは、農林水産省が公表している「感染症対策」に取り組んでいることを前提とした、日本標準産業分類「76 飲食店」に該当する飲食店のみで、デリバリー、テイクアウト専門店は対象外。

また、「76 飲食店」の中でも、風営法の「接待飲食等営業」や「特定遊興飲食店営業」に該当する飲食店は除外としています。加えて、農林水産省は同キャンペーンには「換気」「声量」「三密」を意識した営業が肝要とし、登録店には来店客が相席になる場合には、真正面を避けるほか、カラオケ設備を使用しないなどの対策を求めています。

Go To Eatキャンペーンで期待される効果

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生活者の間では、キャンペーンを利用したいとの声は聞かれるものの、なかなかキャンペーンの詳細が浸透しておらず、利用に至っている生活者が少ないというのが現状のようです。

株式会社ぐるなびが会員1,000人におこなったアンケートでは、キャンペーン内容について「内容まで知っている」「聞いたことがあるが、内容はよく知らない」と回答した人が合わせて94.1%と認知度が高く、Go To Eatキャンペーンを利用して外食をしたいかとの問いには、「利用したい」「やや利用したい」と回答した人が合わせて80.4%と、キャンペーン利用に意欲的な姿勢もうかがえます。

「どなたと外食に行きたいですか?(複数回答可)」には、ディナー、ランチともに回答者の65%以上が「家族」と答え、「どのようなお店で外食をしたいですか?」には過半数が「寿司」「焼肉」と回答。自宅で食べられない料理を提供するファミリー向けの飲食店への需要が高まっており、1回あたりの外食にかける金額については、61.5%が「上がると思う」と答えていることから、生活者の外食機会の増加が予想されます。

また、Retty株式会社の意向調査の「どんなお店に行ってみたいと思いますか?(複数回答可)」の質問には、「行ったことがないお店」との回答が最も多い60%となり、飲食店の新規客獲得にも貢献しそうです。

Go To Eatキャンペーンで発生している
課題とは?

キャンペーンの経済効果が期待される中、その恩恵を受けられない飲食店なども多く、課題も山積しています。

例えば、「飲食予約によるポイント付与」は飲食予約サイトを通さねばならず、予約が受けられない営業形態の店は利用できません。加えて、登録店は予約サイトを利用する手数料や月額料金、予約手数料などが負担に。少なくとも予約1件につき20〜200円ほどの予約手数料が必要なため、ランチなど客単価の低い予約を受けた場合は、飲食店側の利益が少なくなるという意見もあります。利用者側も予約サイトへの会員登録が必要であるため、利用ハードルが高く、仕組みのわかりにくさに拍車をかけています。

残念ながら、キャンペーンの穴をついた不正利用なども横行。開始当初は飲食料金の下限がなかったため、1,000円以下の飲食代金で1,000のポイントを獲得する「錬金術」をおこなう利用者が現れ、後追いで「ランチは500円以上、ディナーは1,000円以上の利用」とのルールが追加されたという背景もありました。

待ち構えるクリスマス、年末年始

飲食事業者にとって、背に腹は変えられぬ状況で始まったキャンペーン。新型コロナウイルス流行の第3波が懸念されながらも、クリスマス、年末年始など飲食店のかき入れ時ともいえるシーズンが近づいています。

各地で始まっている「プレミアム付食事券」は、徐々に利用者も増えてきていることから、この混乱を乗り越えてキャンペーンをうまく利用することができれば、生活者だけでなく飲食店事業者にとっても効果に繋がるのではないでしょうか。



writing support:Akira Fukui





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