豊かな海を守り次世代に繋ぐ、サステナブルシーフード

豊かな海を守り次世代に繋ぐ、サステナブルシーフード

近年、海産物の漁獲量が減少しているというニュースを目にすることが多くなりました。国際社会では、未来にも豊かな水産資源を残すために、持続可能な水産物「サステナブルシーフード」の市場が拡大しています。サステナブルシーフードとは何か、日本ではどのような取り組みがおこなわれているのかをご紹介します。

サステナブルシーフードとは?

6169_image01.jpg

2015年の9月に国連サミットで採択された、持続可能な開発目標SDGsは、豊かで活力ある未来へ向けた国際社会の共通目標です。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会のために、2030年までを年限に目指す、17の目標が掲げられています。

このSDGsの目標14には「海の豊かさを守ろう」があります。大切な海洋資源を守るためには、海の汚染問題や海と沿岸の生態系を回復させるための取り組みをおこなっていくことが必要であるとしています。そして、目標14の達成に最も有効な方法のひとつとされているのが「サステナブルシーフード」です。

「サステナブルシーフード」とは、未来もずっと魚を食べ続けていくことができるように、水産資源や環境に配慮し適切に管理された漁業によって獲られたこと、あるいは環境と社会への影響を最小限に抑えた養殖場で育てられたことが認証された水産物です。

うなぎの絶滅危機やサンマの漁獲量の急激な低下などが毎年のように叫ばれていますが、未来の海を守る上で私たちが日常的にできること、それが、MSC認証・ASC認証を取得し持続可能な水産物であると認められた「サステナブルシーフード」を選ぶことです。

MSCとASCの2つの認証が
サステナブルシーフードの目印

6169_image02.jpg


サステナブルシーフードの認証は、大きく「天然」と「養殖」の2つに分けられます。水産資源と環境に配慮して漁業がおこなわれた天然の水産物の証がMSC認証。そして、環境と社会への影響を最小限にして育てられた養殖の水産物の証がASC認証です。


天然ものの水産物を取り扱うMSC認証

MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)は、1997年に設立されたイギリスのロンドンに本部を置く団体です。日本事務所は2007年に開かれました。MSCの漁業認証は、「資源の持続可能性」「漁業が生態系に与える影響」「漁業の管理システム」の3つの原則から審査がおこなわれています。


養殖の水産物12魚種のためのASC認証

一方で、養殖の水産物には、2010年に設立された国際的な非営利団体「ASC(Aquaculture Stewardship Council:水産養殖管理協議会)」による認証制度が設けられています。サケやブリ、タイやヒラメ、アワビや海老など12魚種が認証の対象となっており、日本では現在67の養殖場で認証を取得しています。

サステナブルシーフードの
流通に必要なCoC認証

MSC認証・ASC認証を取得した水産物を消費者の元に届けるためには、加工・流通経路の管理で「Chain of Custody」を意味するCoC認証の取得も必須です。

水産物の流通・加工の過程では多くのプロセスを要するため、認証されていない水産物の混入には気を付けなければいけません。製品の流通経路であるトレーサビリティーを辿るための仕組みがCoC認証とされるため、CoC認証を取得していない業者を経た場合には、MSCやASCのラベルを付けて販売することができません。サステナブルシーフードは、厳しく管理されているのです。

身近なスーパーで購入できる
サステナブルシーフード

では、いま日本でサステナブルシーフードを購入できる場所はどのくらいあるのでしょうか。2018年の3月末に国際環境NGOの『グリーンピース・ジャパン』が発表した「お魚スーパーマーケットランキング7」によると、日本最大級のスーパーマーケットである『イオン』が業界でいち早くサステナブルシーフードの取り扱いを始めました。他にも『西友』や『コープネット』『イトーヨーカドー』などでも取り組みを強化しているようです。

 

国内企業による取り組みもスタート

スーパーマーケットなどの小売店以外でも、企業によるサステナブルシーフードの取り組みも始まっています。パナソニック株式会社は『WWFジャパン』との協業を通じて、約20年に渡って海の豊かさを守る活動をおこなってきました。2018年からは、本社を含んだ2拠点の社員食堂でMSC認証・ASC認証を取得した水産物を導入。企業が社員食堂で継続的にサステナブルシーフードを提供するのは日本初で、2020年には国内すべての社員食堂での導入を目指しているようです。

サステナブルシーフードを専門にコンサルティング事業を手掛ける、株式会社シーフードレガシーでは、東京サステナブルシーフードシンポジウムを定期的に開催しています。11月初旬に6回目の開催を迎えた、2020年のテーマは「ニューノーマル時代をつなぐサステナブルシーフードとブルーエコノミー」。日本と世界各地をオンラインで繋いで、水産業や海洋環境などにおける業界のフロントランナーが集まり、知見を共有してサステナブルシーフードの取り組みを広く伝えています。

6169_image03.jpg


また、ハワイアンカフェダイニング『アロハテーブル』などを運営する株式会社ゼットンは、国内にある30店舗のレストランでMSC認証・ASC認証を取得した水産物を取り扱うCoC認証を2020年7月に取得。国内飲食チェーンの中でも、カフェ・ダイニングの業態で認証を取得したのは日本初となりました。

海の資源を守るために私たちができること

世界の食品業界では、すでにサステナブルシーフードの分野は急成長し、市場を拡大しています。日本でもこれから市場拡大が予想されるところですが、生活者である私たちにできることは、先ずはこの取り組みを知り、毎日の中で少しずつでもサステナブルシーフードを選択していくこと。持続可能なより良い未来を、日々の食卓から見据えることが、SDGsの目標である「海の豊かさを守る」に貢献することへと繋がるでしょう。



writing support:Yasue Chiba





著者プロフィール

著者アイコン
FoodClip
「食マーケティングの解像度をあげる」をコンセプトに、市場の動向やトレンドを発信する専門メディア。月1-2回配信されるスロー・ニュースレターにぜひご登録ください。