withコロナで変化が問われる領域、販促活動の現状

withコロナで変化が問われる領域、販促活動の現状

当社主催イベント「Food Marketing Forum Online」の開催レポート第3弾。 店頭での試飲・試食などのリアルプロ―モーションができない昨今。今後どのようにマーケティング活動を進めていけばよいのか、今まさに業界全体が頭を抱えている大きな論点であるといえます。カゴメ株式会社と日本水産株式会社の各ご担当者を交え、現場を知り尽くしているからこそ見えてくる方向性、そして取り組むべき課題についてお話しいただきました。

コロナ禍における販売促進活動の現状と課題

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※ご登壇者の所属、役職は2020年10月時点のものです。

カゴメのコロナ禍における
販売促進活動の現状と課題

大野:私は、主に営業と商品企画を担当しており、この秋からは首都圏の量販店様の販売促進、マーチャンダイジング支援の統括をしています。加工食品(調味料と飲料)、日配(調味料と飲料)、生鮮野菜、業務用の惣菜の4部門で、お客さまの野菜摂取を軸としたメニュー開発や提案をおこなっています。

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販促活動における現状課題としては、やはり店頭での試食、試飲販売ができないということですね。新商品のトライアル促進ができない点については我々も苦労しています。

ですので、現場側でも本社との連携によるコミュニケーション施策の強化が必要だと考えています。具体的には、オウンドメディアや公式SNSでの商品やメニューの発信です。さらに自社だけではなくて、流通さまのデジタルサイネージや公式のSNSを活用したメニュー情報や商品紹介、キャンペーンの告知もおこなっています。

齋藤:現在、オウンドメディアで「レシピ情報の再編集と発信」をされているとのことですが、このタイミングで始めた背景と狙いを教えてください。

大野:コロナ禍でいろいろと暗いニュースが多い中、少しでも食卓を明るく、コミュニケーションが生まれるようなことをしようと考えました。そこで、テーマを決めて、既にあったレシピを再編集してオウンドメディアで発信していくことを始めたんです。

齋藤:そうした新たな取り組みをされている一方、試食・試飲販売ができないこの状況で、メーカーに求められるのはどのようなことだと思われますか?

大野:「食べなくても、食べたくなってもらう」というのが大事です。動画、絵、匂いなどのプロモーションも使いながら、おいしさを「言葉」でどう表現するかだと思います。

簡単に調理できるということも大事ですが、それがどんな味なのかがわからないとトライアルしてもらえませんからね。表現に磨きをかけていくことが必要かなと思っています。

齋藤:すると現場の皆さんには、これまでとはまた別のスキルや能力が求められてくるということでしょうか?

大野:大げさにいうと、クリエイティブですね。営業現場であれば取引先の声、お客さまの声、社員の声、実際にその食品を口にしたときの言葉を大事にして表現を考えていくということが大事です。

また、ソムリエなどプロの方が使うメニューの紹介や表現をキャッチコピーにしていくことも大事だと思っています。素人が繰り出す表現とは明らかに違うので、そうした工夫には必要性を感じていますね。

ニッスイのコロナ禍における
販売促進活動の現状と課題

熊谷:私は入社以来30年間、営業畑におりました。2018年度からの営業企画部を担当し、「マーケティング戦略の企画立案」「広告、宣伝、販促、営業支援の企画立案」「商品パッケージデザイン、表示、商標関連業務」「広域債権管理、Webサイト関連業務」「商品情報管理、仕様書作成」といったことをおこなっています。

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当社における、販促活動の現状と課題については、営業現場にフォーカスして5つ挙げています。

1つ目は、コロナ禍で商談回数が大きく減少して顧客接点が減少してしまっていること。2つ目に、リモート商談が増えて対面でなくなっていること。3つ目が、流通さまやバイヤーさまに試食で価値を伝えづらくなったこと。 4つ目が、お客さまと会えないことで情報が取りづらいこと。最後の5つ目が、上司目線として部下のフォローがしづらいこと。こうしたところに大きな課題を感じています。

齋藤:上記課題の中で、特にリモート商談のメリットと課題について教えて頂けますか?

熊谷:物理的な距離があるところに対しては、リモートでのメリットを感じています。一方で、課題としてはお互いに「温度感」が伝わりづらいというところです。

入社1~2年目などの若い方たちは、実際の商談現場での経験が少ないので、お客さまの対応がわからなかったり躊躇してしまうことがあります。この部分を何とかフォローアップしたいのですが、まだ答えが出ていない状態ですね。逆に、皆さんから教えてもらいたいと思っているくらいです。

齋藤:多くの方も同じ状況だと思いますが、「情報を取りに行く」ために工夫をしていることはありますか?

熊谷:これについても非常に難しいと感じています。リアルではお客さまと対面して、その言葉や表情、ニュアンスから取れるようなものもありますが、画面越しではそれが難しいですよね。

ですから例えば、お客さまのタイプをいくつか分けて、そのタイプを部下達に教えてあげるというのも一つかなと。野球で言えば、星野仙一さんのように激情的にリーダーシップを発揮する人、長嶋茂雄さんのようにセンシティブな人、野村克也さんのようにロジカルな人などのタイプがあったりしますよね。

意識しなくても、対面では相手がどういうタイプなのかを感じながら、そこに合わせて商談していると思うんです。そうした長年現場でやってきて、なんとなく培ってきたものを、言語化して伝えることが大事だと感じています。

パネルディスカッション

齋藤:続きまして、パネルディスカッションです。事前に視聴参加者の方々からいただいた、ゲストスピーカーの皆さまへの質問について回答いただきたいと思います。

Q. 試食を出せる機会が減り、CM以外で味を伝える取り組みやアピールの仕方について、お考えを教えて下さい

大野:先ほどと重複しますが「シズル感の高い表現開発と画像力の強化」。これに尽きると思いますね。

基調講演のミツカンさんの事例であったように、餃子の「うまさ神ジュワ!」のような、一瞬で伝わるような表現はとても大事だと思います。画像力については、今は本当にいろいろな機器が発達していますが、まだ十分に活かしきれていないので、そうしたツールを使いこなしていくことが課題です。

熊谷:私も同様で「動画などを検討」することですね。おいしさをクリエイティブな画像などで感じてもらうのがいいと考えています。実際、業務筋の問屋さんの展示会なども、リアルではなくWebを使うというところも増えていますので、そういう点でも検討する必要があると思います。

Q. クックパッド等のデータを活用してプロモーションや販促計画を考えるのは、各商品担当者なのか、もしくはデータを考察する担当が別にいるのでしょうか?

大野:データは、商品企画、広告、営業とそれぞれで使っています。良い点は、営業でも現場の反応見ながら、データを使って自立して仮説を作っていけるところです。大きい戦略を作るという意味で、商品担当・コミュニケーション担当が使うのもとてもいいことで、その両輪だと思います。

熊谷:商品担当部署と企画部署で使っています。さらには営業部署でも使っていますので、現場対応が早く、個々に合ったスタイルでできるのがいいところです。

ただ一方では、全社で同じコンテンツを使った方が良い場面も当然あります。そういう意味ではバラバラに使っているのは効率が悪いところもあり、どう効率良く活用するかが課題だと感じていますね。

Q. クックパッドに期待することは?

大野:かなりピンポイントになりますが、当社ではいろいろな部署が検索しているので、知らないうちに同じことをして、全社的にとても非効率な状況になっていることがあります。そうしたことを防げる仕組みを作っていただけると、非常に助かりますね。

熊谷:「さまざまなニーズを示唆できるような提案」を期待したいですね。クックパッドのデータはシンジケートデータとしては、かなりのビッグデータです。

ただ、キーワードから物事を深堀りすることに慣れておらず、私自身もいろいろな情報やお話を聞いて「良いな」と思ったことを社内で伝えようとしても、なかなか言葉が出なかったりと難しさを感じることがあります。キーワードで物事を見るということに慣れてくる人が増えて、そのための提案をいただけると、もっと幅広い活用場面が出てくると感じています。

齋藤:大野さん、熊谷さん、お二人とも本日はどうもありがとうございました!

次回は

次回のレポートは、旭化成株式会社と味の素株式会社による、パネルディスカッション③「コロナは商機か!withコロナにおける消費者接点とは」をご紹介いたします。



writing support:Miyuki Yajima



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