消費者接点はコロナ禍でどう変化? 各社の認識と対応

消費者接点はコロナ禍でどう変化? 各社の認識と対応

当社主催イベント「Food Marketing Forum Online」の開催レポート第4弾。
コロナによって世の中が未曾有の事態となっている2020年、そして誰もが経験したことのないコロナと共存する新しい生活がスタートしています。そうした中で、旭化成株式会社、味の素株式会社は、まさに変化に対応し続けている業界のリーディングカンパニー。このコロナ禍を商機と捉え、どう消費者接点を作っていくのかについてお話いただきました。

コロナは商機か!withコロナにおける消費者接点とは

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※ご登壇者の所属、役職は2020年10月時点のものです。

旭化成の商機と現在の取り組み

山下:私は、サランラップ®に代表される消費財事業で、長く営業を経験しておりました。現在は、ジップロック®やクックパー®のブランドマネジャーをしています。


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上記がここ最近の主な活動です。なかでも、「ゆとりうむプロジェクト」では、他企業さまとの連携で活動をしておりまして、永谷園さまやマルコメさま、グループ企業のヘーベルハウスとの異業種コラボレーションなどもおこなっています。もしご興味を持っていただけましたら、ぜひ「ゆとりうむ」で検索して、活動をご覧になってみてください。その他、カゴメさま主催の「野菜をとろうキャンペーン」にも参画させていただいています。


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コロナが商機であるかという点について、私たちは「ブランディングこそ商機」だと捉えており、ジップロックが社会に提供している価値や、これから提供したい価値をあらためて見つめ直しました。機能的価値と情緒的価値、ジップロックの強みをしっかりと整理して価値提供していく、そのための戦略を今も考えているところです。

例えば、「下味冷凍」で提供したい価値というのは、料理のテクニックだけではありません。より伝えたいことは、ジップロックを使うことで伝えられる情緒的価値であり、それを重視しています。

効率よくスマートに料理を手助けすることで、それまで義務だった料理が楽しさに変わる価値。あるいは、家事負担が減った分、趣味や家族との時間が増えることで得られるその後の豊かな人生、そういったことをしっかり表現したいと思っています。

齋藤:「ブランドこそ商機」という考えは、コロナ以前とコロナ禍で何か変化はありましたか?

山下:ブランディングの戦略はコロナ禍だから始めたわけではなく、ここ数年の課題の中で取り組んでいました。

食まわりでは、共働きが増えて時短意識が高まったり、男性が家事に参加する機会が増えましたが、こうした変化はそもそも起こっていました。これがコロナによって急激に変わった、変化を余儀なくされたと捉えています。ですので、以前から取り組んでいて良かったという感覚です。

齋藤:「下味冷凍」は、クックパッドのデータでも2018年から19年の伸びが大きく6倍程に増えています。ここに注目をされた背景を教えていただけますか?

山下:クックパットと取り組みを始めたのは2017年の春、その時に初めて「下味冷凍」に取り組みました。

この頃「まとめ買い」という購買行動が増えてきて、一度にまとめて買った食材を無駄なくおいしく最後まで食べ切ってもらいたいということが目的でした。そこに、ジップロックの開け閉めしやすい、密閉性が高いという機能的な価値がマッチしたということで始めました。

また当時は、今のような広告宣伝方法というより、どちらかというと時短や作りおきの延長のような意識でした。ただ当時の担当者が、規模は小さくてもある一定のボリュームが取れていたことや定性的には響いているということを敏感に感じ取って、「下味冷凍」を軸にしていったというのが背景です。

齋藤:コロナ禍のデータを見ると、「作りおき」と「下味冷凍」があまりにも違う動きをしたのが特徴的だったと思っています。そもそも作りおきは、お弁当を中心に「時短・簡便」に繋がっていて、「下味冷凍」もその派生であったと思います。ただ、「下味冷凍」はコロナ禍でさらにバリエーション豊富になって、データでも伸びを示しましたよね。これについてはどうご覧になりましたか?

山下:データで細かく分析出来ていないので、個人的な感覚も含めてになりますが、「下味冷凍」は「作りおき」よりも心理的なハードルが低いのかなと思います。冷凍することでさらに美味しくなる、といったようなちょっとした賢さや気軽さが響いているのかなと思います。

味の素の取り組み

木本:僕はもともと、広島で国内の営業をしていました。味の素はアミノ酸の会社でもあるので、化粧品事業でのマーケティング業務、その後は味の素スタジアム・ネーミングライツ施設業務、そして広告の部署に行きました。現在は、デジタルメディア、新聞メディア、雑誌メディアのバイイングとプランニングをしています。


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業務の流れとしては、社内の各組織(ほんだし®やCook Do®など)のマーケッターから、我々広告部に「コミュニケーションをどうしていこうか」という相談が来ます。広告部では バイイング担当と媒体プランニング担当、クリエイティブ制作担当がいるので、そこと協議しつつ、さらに媒体者さま、代理店さまと共有して出稿に結びつけていき、最終的にPDCAを回していくといった業務をおこなっています。


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コロナでいろいろ変わったなと思うことは、上記ですね。巣ごもり、調理回数増、家族で一緒に食べるようになった供食、さらに楽しく、ラクにということ。また、調査会社の話を聞くと、買い物の頻度やスーパーに行く頻度が減り、滞在時間も短くなっているということがあります。当社の営業部門も本部商談の方法が変わったり、店頭活動も今は制約を受けていると思いますね。

媒体活用に関しては、デジタル活用がどんどん増えているのが当社の現状です。生活者をより細かく捉えていこうという動きがあり、デジタルメディアだといろんな媒体活用手法がある分、活用効率も上がると考えているからです。

コロナ禍で家での食事が増えていることもあり、業績としては悪い方向にはいってないというのが現状です。

齋藤:デジタルの媒体活用について、このタイミングで新しくトライされたこと、変化があったことはありますか?

木本:これはコロナと直接の関係はないんですが、やはりデジタルの活用はとても増えています。慣れていない分、社内が大混乱したところがありましたが、デジタルの大きな媒体活用というのは変化のひとつです。

また、当社はオリンピックのスポンサーでもあるので、アスリートを強く元気にするための食事支援として「勝ち飯」プロジェクトを進めています。オリンピックイヤーであった今年、これを一般の生活者にもムーブメントとして落としていこうとしていたのですが、残念ながらオリンピックがなくなってしまいまして…。

ただ、ホットプレートで「勝ち飯」の取り組みをやっていたのが、ちょうど生活者の方の「家でホットプレートで楽しくご飯を食べる」という志向とうまく連携できました。ここは、クックパッドの力をお借りできたこともあり、うまくいった社内の例の一つかなと思っています。

齋藤:先ほど、デジタルの活用において社内が大混乱というお話をされていましたが、どのメーカーさまもデジタルに転換していく中で起こり得ることかと思います。どのように推進されていったのか、工夫などがあれば教えていただけますか?

木本:会社的にデジタルを始めなければと、2015年頃から取り組み始めました、クックパッドとの出会いもその頃で、当社の商品もどんどん増えてきたんですね。

ただ商品が増えても広告費が増えない中で、どう効率化を図っていくかと考えたときに、デジタルを使わなければならないと。そうしてデジタルを使っていくと、広告効果や結果がどうだったかについて、比較的数値的なものが出てきます。明確な答えが出てはいませんが、 PDCAが回しやすい分、浸透していったのだと思います。

パネルディスカッション

齋藤:では、このパネルディスカッションでは、事前に視聴参加者の方々からいただいた、ゲストスピーカーの皆さまへの質問について回答をいただきたいと思います。

Q.今後、食を取り巻く環境、プロモーション手法はどのように変化し、対応していくべきか、お考えを教えて下さい。

山下:商品選択の動機が多様化していたり、競合メーカー品やストアブランドが台頭、追随してくる中だからこそ、メーカーができることとして「ブランディング」が重要ではないかと思います。

例えば、ジップロックが持っているバックボーンなどをしっかり消費者の方に伝えて、共感したり好きになっていただいて、このブランドを応援したいと思ってもらう。それが、つまりは店頭で選ばれるということになると思いますので、そういうブランドになるということを意識しています。

木本:今、当社ではスモールマスをどんどん捉えていくことにチャレンジしています 。商品がどんどん増えて、生活者の行動も変わり、情報も増えてくる中で、ここを極めていかないと商機が見い出せないのでは、と思っていますね。

もちろん、一回決めたコミュニケーション方針を1年間貫くというのも、それはそれで大事な部分もあります。ただ、今後は明日は何が起こるかわからないという中で、ブランドとして言いたいことをコミュニケーションで伝えるには、適宜判断しながら、変えていくことも必要ではないかと思います。

Q.クックパッド等のデータを活用してプロモーションや販促計画を考えるのは、各商品担当者なのか、もしくはデータを考察する担当が別にいるのでしょうか?コロナ禍で対応に追われる中、各社どのような分担で行っているか、教えて下さい。

山下:基本は各商品担当です。効率化を目指してKPIやKGIといった目標設定をします。下味冷凍の戦略で言えば、今年は下味冷凍をする回数を増やす、使用枚数を増やすというところに重点をおいています。結果的には、コロナ禍で、奥行きの部分もですが、間口も広がったと思います。

あらかじめ目標を設定して、それを効率よく分析するというのは各担当がやっていますが、今回のように新しい仮説が出てくると、それに対応して次どうする?さらに次はどうする?となっていきますので、そういった意味では工数管理の点で悩みはありますね。

木本:これは商品マーケッターが、基本方針を持って決めていきます。大事なパーツである広告コミュニケーションモデルについては、僕らがいる広告部の方でも一緒に考えながらデータを活用していますね。

齋藤:旭化成さまは下味冷凍、味の素さまではホットプレートのお話があったりと、共に比較的マーケティングの上流、つまりターゲット選定や課題分析のためにクックパッドのデータを活用いただいているように思います。

そうした中で、クックパッドのデータをどう感じていらっしゃるのか、もっとこうなって欲しいといった要望があれば教えてください。

山下:定量的なデータ以外にも、一人ひとりの投稿でどういったコメントをしているのか、どのくらいの熱量なのか、といったことも見ています。その情緒的な部分をどうデータ化して、次の分析に活かしていくかといったところに期待したいなと思います。

木本:食べるものを商売としているので、クックパッドの「たべみる」の検索データはとても興味深く見ています。なるほど!という時や、思わぬ発見をする時もあったり、タイムリーな変化を感じ取ることも出来たり、 特にこの部分は信頼できるデータとして活用しています。

さらに求めるとすれば、何か他のデータが加わることで、もっと生活者のインサイトが発掘できようになればいいですね。

Q.クックパッドに期待することは?

山下:「メーカー・流通・消費者を繋ぐ力強い橋渡し役」です。メーカー1社で届けられる情報は限られていて、その声もさほど大きいものではありません。それが1社、2社と増えて力を合わせていくことで大きくなると思いますし、そのためにクックパッドのプラットフォームも利用させていただければと。

ジップロックは食品ととても相性がいいので、色々なところとコラボレーションできる商品だと思っています。ですので、ぜひ手を組ませていただきたいですね。そういった意味での橋渡しをお願いしたいです。

木本:「生活者モーメントとインサイトの把握」ですね。これは先程お伝えした通り、「たべみる」と何か掛け合わせることで実現できればと思います。

もう一つは、山下さんと同じく、我々は流通さまの力を大きく借りているのでもっと連携したいですし、繋いでほしいですね。個人的には、キーとなる購買データがもう少しうまく世に出回って、みんなが上手く使えるようになればいいと思います。

齋藤:山下さん、木本さん、本日は貴重なお話をありがとうございました!

皆さまと共に創る、これからの食卓

初のオンライン開催となった「Food Marketing Forum」。全プログラム終了後には、ご希望される多数の企業さまとZoomによるオンライン個別相談会を実施いたしました。

当日ご登壇いただきましたゲストスピーカーの皆さま、ご視聴いただきました皆さま、本当にありがとうございました!

今回は当社においても情勢に合わせた新しい試みとなりましたが、今後もさまざまな社会状況や変化に対応し、生活者課題に業界全体で取り組みながら、食を通じたより良い社会作りを目指して、皆さまと共に「これからの食卓」を共創していきたいと考えています。

現在、クックパッドでは広告配信だけでなく、食卓動向調査やユーザー分析から店頭販促支援に至るまで、サポート提供範囲も大きく広がっています。なにかご質問やご相談などありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。



writing support:Miyuki Yajima



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