長い歴史を歩んだカステラからたどるシュガーロードの旅

長い歴史を歩んだカステラからたどるシュガーロードの旅

和菓子メディア「せせ日和」を運営している「せせなおこさん」に、和菓子を通じて日本の文化や歴史を教えてもらう連載!読んで学んで、和菓子をもっと身近に感じてくださいね。

カステラは和菓子?洋菓子?

「カステラって和菓子?洋菓子?」

よく聞かれるこの質問。ケーキのようなふわふわのスポンジは洋菓子みたい。だけど売っているお店は和菓子屋さん…?うーん、カステラは一体どっちなんだろう…?

こんにちは、和菓子女子のせせなおこです。ふんわりした生地、底のザラメ。鮮やかな黄色のカステラに何度元気をもらい、癒されてきたことか…!カステラの歴史を知ることで意外なお菓子との繋がりが見えてくるんです。さぁ、シュガーロードの始まり、長崎銘菓のカステラの歴史を探ってみましょう!

カステラがやってきた!

6380_image01.jpg

カステラが日本にやってきたのは室町時代の終わり、ポルトガル人と一緒にやってきたと考えられています。カステラが日本へやってきたのは、思っていたよりもずっと昔でびっくりです。カステラの原型といわれているのがポルトガルの「パン・デ・ロー」というお菓子。数年前、日本でも流行った「半熟カステラ」のようなものです。

1689年の「合類日用料理抄」、1718年のお菓子の最古の製法書「古今名物御前菓子秘伝抄」にレシピが掲載され、江戸時代には全国に広まっていきました。ちなみに、1867年に坂本龍馬が長崎で組織した「海援隊」の日誌には、カステラ仕様の項目が残されています。坂本龍馬もカステラを食べていたなんてニヤニヤしてしまいます…!!

さて、「カステラ」という名前は一体どこからやってきたのでしょうか。名前の由来には2つの説があります。

6380_image02.jpg

まず1つ目、16世紀頃スペイン全盛を極めていた「カステーリャ王国」。ポルトガル語では「カステーリャ」のことを「カステラ」と発音するんだそう。日本に来ていたポルトガル人に「なんというお菓子ですか?」と尋ねた際、「カステラ(カステーリャ)のお菓子」と答えたことからカステラの名前が付いたという説です。

2つ目、カステラを作る際「お城のように高くなれ!(bater as claras em castelo)」と声をかけながら卵白をかき混ぜ、高く盛り上がるメレンゲを作るんだそう。そのかけ声の「カステロ」部分が残り、カステラになったという説です。

初めて文献にカステラという表記が出てくるのは1626年、明確にカステラと名付けられたのがいつ頃かというのはわかっていません。

長崎カステラと東京カステラ

さて、カステラを作るのに必要なのは材料だけではありません。カステラを焼くための道具も必要となってきます。今では当たり前の「焼く」という技術も「蒸す」が一般的だった当時は最先端の技術。

しかし、カステラを焼くのに必要なオーブンがありません。そこで、鍋を使い、どうにかオーブンで焼いたものに近づけようと試行錯誤が繰り返されます。

最初は丸い菓子鍋に紙を敷き、蓋をして、上下から火を当てていました。こちらは「かすてら鍋(日本式オーブン)」として、今の長崎カステラの焼き方の元となっています。そして、カステラの砂糖の分量が多くなるとともに平鍋が登場します。

型に生地を流し、卵焼きのような焼き方で、それが現在の「釜カステラ (東京カステラ)」です。岐阜県恵那市岩村では釜カステラが名物。これは江戸時代、岩村藩のお医者さんが、蘭学を学ぶため長崎へ赴いた際に学んだカステラの製法が受け継がれているからなんだそう。

6380_image03.jpg

しっとりふわふわの長崎カステラに比べ、しっかりとした食感はパウンドケーキに近いかも。他にも東京のお菓子屋さんで販売しているところがあります。

カステラは洋菓子?和菓子?結局どっち?

和菓子の定義は、明治時代になり開国した際、外国から洋菓子と区別するために生まれた言葉です。そのため、明治時代よりも前に日本にあったものは和菓子に分類されます。しかし、カステラはそのもっと前に、海外からやってきました。それらのお菓子は「南蛮菓子」と呼ばれ、和の要素・洋の要素どちらも持っていることが特徴です。

6380_image04.jpg

そしてこの開国のおかげで、カステラはより品質の高いカステラとして作られるようになりました。砂糖、小麦粉、卵のみだった当時のカステラは、明治時代になり水飴が材料に加わったことで、今のようにしっとりとした食感になりました。

さらに、ザラメが使われるようになったのも明治時代。底のザラメは私も大好きですが、実は底に敷いているのではなく、生地と一緒に焼く時に使ったザラメの一部が溶け残って沈んだものなんだそう!長い歴史を歩み、たくさんの人の「おいしいカステラを作るぞ!」という思いが今のおいしいカステラに繫がっているんだなぁ、としみじみと感じました。

カステラのように日本にやってきた南蛮菓子。他にはどんなお菓子があるのでしょうか?意外な和菓子も登場するかも?次回もお楽しみに!



参考文献
・八百 啓介,砂糖の通った道,弦書房
・かすてら,講談社
・和菓子 第8号,虎屋文庫
・肥前の菓子,嵯峨新聞社
・福砂屋 カステラ文化館
・松翁軒





著者情報

著者アイコン
せせなおこ
あんこが大好きな和菓子女子。和菓子を好きになったきっかけはおばあちゃんとつくったおはぎ。小さな和菓子に日本の文化や歴史が反映されているのに魅力を感じ、和菓子を発信すべく和菓子メディア「せせ日和」を運営。商品開発や和菓子専用のコーヒーのプロデュースもしています。
せせ日和:http://sesebiyori.com/