
SDGs
フードロスアプリが急増中、注目を集める人気の理由とは
世界中で注目が高まるSDGs。なかでも、目標12「つくる責任 つかう責任」に組み込まれたフードロス削減は、日本の食品業界においても大きな課題です。近年、そうした課題解決を目的とし、作り手と生活者を直接繋ぐことでフードロス削減を目指すアプリ・サービスが続々と誕生しています。
フードロスアプリが注目されている
近年、大きく問題となっているフードロス。この具体的な解決策として、企業・生活者に注目されているのが「フードロスアプリ」です。
フードロスを減らしたい作り手側の企業や店舗と、フードロス削減活動に取り組みたいユーザーである生活者を繋げてくれるツールとして、今後ますます需要が高まっていくことが予想されます。
手間をかけずにフードロスも廃棄コストも減らすことができ、手軽に社会活動に貢献できてお得に食を楽しめる、食の送り手と受け手の双方にメリットのあるフードロスアプリについてご紹介します。
フードロスとは
フードロスとは、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことで、「食品ロス」ともいわれます。日本のフードロスは、年間約612万トンにものぼります。(平成29年度推計:農林水産省及び環境省)これは世界中で飢餓に苦しむ人たちへの食糧援助量、年間約390万t(平成30年度)の約1.6倍もの量です。
2019年10月1日には、消費者庁から「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行されました。また、昨今は持続可能な社会を実現するSDGs(エスディージーズ)の観点からも企業の取り組みが推奨されるなど、フードロスをいかに減らしていくかは早急の課題とされています。
自治体との連携で社会課題解決を目指す
身近なところからフードロスを減らしていくためには、自治体との連携が欠かせません。これに一役買っているのが、フードロスアプリです。
代表的な成功事例として、株式会社コークッキングのフードロス解決アプリ「TABETE」を使った取り組みが挙げられます。アプリを使って、飲食店や販売店で廃棄の危機にある食品を掲載してユーザー(食べ手)に知らせ、それを見たユーザーは通常よりも安く購入できるというしくみです。
自治体から住民や店舗に対して積極的に利用を働きかけていくことで、実際に多くのフードロス削減へと繋がっています。また、フードロスそのものの認知向上になるだけでなく、ビジネスとしても継続性のあるサービスを実現させています。
飲食店がフードロスアプリを活用するメリット
飲食店がフードロスアプリを使う最大のメリットは、初期費用や手間をかけずに廃棄コストと食品や食材のロスが減らせることです。さらには、売上アップにもつながります。
各店舗が、独自に買い手(食べ手)を見つけるのは困難ですが、アプリを使えば欲しいユーザーと簡単にマッチングできます。多くのアプリサービスは、飲食店の初期費用や運営費も無料で、リスクなく始めることができるというのも活用しやすい理由です。また、フードロス削減活動へ取り組んでいることが世間や生活者に伝われば、お店のブランディングにも繋がります。
話題のフードロスアプリ5選
今、話題になっているフードロスアプリを5つご紹介します。
作り手の想いを食べ手に
日本初のフードロス削減サービス「TABETE 」
「TABETE(タベテ)」は、最後の1食まで食べ手につなげるをコンセプトにした日本初のフードロス削減サービス。多くの自治体とも連携している、フードロス削減サービスのパイオニアです。さらに「TABETEレスキュー掲示板」では、店舗のみならず、生産者と食べ手をつなげる食材の全国直送サービスもおこなっています。
初期費用やランニングコストは一切不要。売れ残ってしまいそうな食品をTABETEに出品し、あとはユーザーが購入するのみ。決済もアプリ上で完結するので、受け渡し時間を指定して実際に取りに来てもらうというしくみです。商品が売れた場合、1商品あたり150円の販売手数料を支払う完全成果報酬型で、販売価格は250円~680円の間で設定できます。
ユーザーは、アプリで検索して購入したい商品をアプリ上で決済し、店舗に受け取りに行きます。
【店舗、生産者】
・初期費用、ランニングコスト:0円
・売上が出た場合のみ1商品あたり150円の手数料を支払う。
【ユーザー】
・680円以下で食品が購入できる(店舗)
・全国から食材の直送サービスも利用できる
月額制のフードロス削減サービス「Reduce Go」
「Reduce GO(リデュースゴー)」は、飲食・小売店向け余剰食品削減サービスのプラットフォームです。加盟店の利用料や初期費用は0円で、Reduce GOから売上げた収益の一部が還元されます。
ユーザーである生活者は、月額1,980円で1日に2回まで、アプリで現在地周辺の余剰食品を探して注文できます。注文した食品は、指定の時間に店舗に取りに行くというしくみです。現在は、関東エリアと名古屋エリアに対応しています。
【加盟店】
・初期費用、ランニングコスト:0円
・サービス収益の一部が店舗に還元される(注文数によって変動)
【ユーザー】
・利用者は月額1,980円で1日2回まで注文可能
食材ロス削減に貢献できる
レストラン“ガチャ”予約サービス「Tabetta」
「Tabetta(タベッタ)」は、突然のキャンセルや予約を見込んで仕入れたのに実際には入らなかったなどの理由で発生する、飲食店舗の食材ロスを減らすために生まれたレストラン直前予約サービスです。
店舗の初期費用や運営コストは0円。Tabettaを通じて予約が入り、売上が出た時のみ手数料を支払います。
ユーザーは定価よりも30%以上安く利用できるというメリットがあります。当日から2日先までの日程、エリア、ジャンル、予算を選ぶと、Tabettaからレストランが提案される“ガチャ”のようなしくみ。通常では割引がない、Web予約ができない店舗など、自分ではなかなか選べない店舗を紹介してもらうことができます。
【店舗】
・初期費用、ランニングコスト:0円
・Tabettaを通じて売上が出た場合に手数料を支払う
【ユーザー】
・日時と場所、お店のジャンルを指定して、Tabettaからお店の予約を依頼する
フードロスをお得に買える
クーポン発行サービス「No Food Loss」
「No Food Loss(ノーフードロス)」は、飲食店や小売店で発生しそうなフードロス商品を安く購入できるクーポン発行アプリです。加盟店は、初期費用、クーポン発行手数料等はすべて無料。売上が出た場合に、販売金額の20%を手数料として支払います。
ユーザーは、近くにある店舗で利用したいクーポンを探して、お店でQRコードを撮って利用し、商品代金はその場で支払います。現在の加盟店は、主にコンビニエンスストアや小売店で、購入金額の一部は、アフリカやアジアの子ども達の給食費として寄付されます。
【加盟店】
・初期費用、ランニングコスト:0円
・クーポンを利用して売上が出た場合、商品代金の20%を手数料として支払う
【ユーザー】
・アプリから使用したいクーポンを検索
・店舗でQRコードを撮って利用すると割引となる
食べることで社会貢献&フードロス解消「tabekifu」
「tabekifu(タベキフ)」は、会員登録してアプリから注文すると、フードロス商品をお得に購入でき、購入金額の一部が寄付されるという社会貢献型フードロス解消アプリです。
加盟店は無料で掲載が可能。有料プランは月額5,000円からで、プランによって販売時の手数料やメディア内での掲載ページ表示位置が変わります。フードロス商品だけでなく、定価の通常メニューも掲載&販売ができます。
ユーザーはアプリを通して注文し、商品を現地で飲食または持ち帰ります。
購入金額に応じてポイント(300円で1ポイント付与、利用時は1ポイント1円)も付与され、次回以降の注文に利用できます。さらに、フードロス商品ではない通常メニューも注文すると、その金額の一部も寄付され、さらにSNSで拡散すると寄付が増額します。
【加盟店】
・初期費用、ランニングコスト:無料プランor有料プラン(月額)
※プランによって販売手数料や掲載ページの表示位置が変動。有料は月額5,000円~
・売上が出た場合に販売手数料の支払い
【ユーザー】
・希望の店舗のメニューをアプリから注文。店舗で飲食、または持ち帰る
・購入金額に応じてポイントがもらえる
今後のフードロスアプリ活用の動き
先行して取り組んでいる欧米では、アプリを使ったプラットフォーム型のフードシェアリングサービスは広く普及しています。一方、日本でフードロスアプリが登場してきたのは、2018年頃とまだまだ遅れています。
フードロスアプリは、店舗とユーザーの両方が、導入経費やリスクなく手軽に取り組めるという点で、今後は徐々に広まっていくでしょう。広く活用されれば、実際に食品廃棄量の削減に繋がることは間違いありません。
フードロスアプリは
フードロス削減活動の第一歩
食は私たちの命の源。フードロス削減は、企業はもちろんのこと、一人ひとりが真剣に向き合って取り組んでいかなければなりません。そのためには先ず、ユーザーに意識を持ってもらい、行動に踏み出してもらうこと。その入り口として、お得感、手軽感、ワクワク感を感じながら利用しやすいフードロスアプリは、フードロス削減の重要なツールとなっていくでしょう。
writing support:Miyuki Yajima
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