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食の偏愛コラム
[世界の台所探検]伝授!世界のレシピを読み解くコツ
HolicClipの連載[世界の台所探検]です。世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さんのレポートから、世界各地の家庭料理を通じて、さまざまな食の文化と歴史、それぞれの暮らしを感じることができます。
ポイントを掴めば世界の料理が作れるように!
旅先で食べた、海外の料理。本場の味を再現しようと英語のレシピと格闘しながら作ってみたら、なんだか想像と違う味に...そんな経験はありませんか?
私は、海外の家庭で教わった料理を再現しようとインターネットでレシピをさがして参考にすることがあるのですが、「レシピ通り」に作ったつもりでもしょっちゅう失敗します。
それもそのはず。失敗を重ねるうちにようやくわかってきたのですが、国が違えば食材や調理器具も違って、現地ではあるはずのものが日本にはなかったり、同じ名前の食材でも全然ものが違ったりするわけですから当たり前です。
でもせっかく作るなら、おいしく作りたいですよね。 そこで今回は、何度も失敗する中で見つけたいくつかのポイントを、世界のクックパッドレシピを見ながらご紹介します!
各国の野菜のサイズに違いあり!
日本のレシピでも海外のレシピでもよく見かける「にんにく◯片」という表現。一見特に何の問題もなさそうですよね。ところが、ここに落とし穴があるのです。
スペインのにんにくスープ「ソパ・デ・アホ」。にんにくの風味が決め手なのですが、現地のCocinarParaCuatroさんのレシピを見ると...
「4人分で15片」
15片ってどれくらい? 日本で最も一般的なにんにくは「ホワイト6片」という6片種なので、それで考えると15片はなんと2.5球分。これはさすがにすごい量!
実は「ホワイト6片」は1片10gとかなり大粒で、スペインの3~7gと比べると約2倍。書いてある通りの数で作ると多すぎてしまいます。
左は日本産、右はスペイン産。比べてみるとその差は歴然です。実際に重さを測ってみると10gと3.5g。なんと3倍の重量差がありました。
現地駐在していたクックパッドの日本人スタッフによると「日本のにんにくだと4人分で6片でちょうどよかった。スペイン人ほどにんにく慣れしていないという好みの問題もあるけれどね」ということでした。
そういえば、私も世界の台所で、スペインのものよりさらに小さなにんにくに出会いました。 中東のヨルダンでは、小指の爪ほどの小粒にんにくを丸ごと水に浸してバラし「皮を剥くのも面倒だから、皮ごとつぶしちゃうのよ!」とバサッと小さな臼に入れて潰していて驚きました。
にんにくに限らず、野菜は基本的に「サイズは違うもの」と思っておくとよさそうです。 すべての野菜に注意を払うのは大変ですが、味の決め手になるものは注意したいですね。
同じ1カップ表記でも要注意!
今年は、パンや焼き菓子に挑戦された方も多いのではないでしょうか。これからの季節は、秋の果物を使ったお菓子もいいですよね。
本場アメリカのアップルパイを作ろうとBakedAppleさんのレシピを見てみると...
「小麦粉 1と1/2カップ」
「バター 1/4本」
何も問題ないように見えます。
ところが、アメリカの計量カップは240mlで、日本の200mlより大きいのです。
また、アメリカのバター1本は113g。日本の一般的なサイズは150〜200gなので、ひとまわり以上小さいのです。「レシピ通り」と思って小麦粉とバターを測って作ると、とってもバターたっぷりな生地になってしまいます!
ちなみに、アメリカのレシピでよく見る「oz」はオンスと読んで1oz=28g、「lb」はポンドで1lb=454g。お菓子作りは計量が肝心! 作業前にパソコンで単位を変換しておくのも大事ですよ。
文化の違いもレシピに影響!?
まだまだ海外旅行は難しいですが、気分転換に料理だけでも楽しみたいという時もありますよね。そんな時、私は中東のチキンライス「カプサ」のレシピを探して作ることがあります。
サウジアラビア在住のSabrina Yasminさんのレシピを見てみると...
「米 1kg」
「鶏肉 1kg」
米1kgって何人分?鶏1kgってもはや丸ごとでは?!
2人分だけ作ろうと思って量を減らすと、なんだか決まらない味になってしまいます。 たくさん作る場合には、スパイスの量が多少大雑把でもなんとかなりますが、少しだけ作る場合は、ひとつまみの誤差が大きな味の違いを生んでしまいます。
中東からアフリカにかけての地域は、イスラム教徒が多いこともあってか、家族の人数が多く、また一家や親戚で集まる機会が頻繁にあることもあって、料理のサイズが大きいんです。 本場のレシピは分量も本場。さすがに1kgは大変ですが、4人分くらい(このレシピだと400g)は作るようにすると、失敗しにくいです。私はこういうレシピは、人が集まるときに作るか冷凍するようになりました。
失敗を恐れず楽しもう
このほかにも、野菜の水分が多くてべちゃべちゃになったり、辛い唐辛子と辛くない唐辛子を間違えて大変なことになったり、未経験のレシピに挑戦するといろんなことが起こります。 でも、そんなトラブルも発見のチャンス! 旅にトラブルはつきものです。 ご紹介したコツをガイドブック代わりに、世界の料理を楽しんでみてくださいね。
世界の台所探検の本が発売
読んで、作って、食べて、世界の暮らしをめぐる旅に出かけてみませんか?
“食から世界を旅する”本が12月18日に発売されました!
「世界の台所探検家」として世界各地の台所をめぐっている岡根谷実里さんが、現地の人と一緒に料理や食事をして体験した、リアルな暮らしと文化のストーリーをたくさんの写真と共に紹介。コラムでは、台所を飛び出して、市場や調理道具、その地域ならではの食習慣も味わえます。
この連載でも紹介してきた、世界各地のユニークな料理と食文化に出会えるはず。
観光ガイドブックとは違う、その国に住む“普通の人々の暮らし”を、現地家庭で教わった料理レシピ13品とともに体験してみてください。
▶ご購入はこちら:https://www.amazon.co.jp/dp/4861528208
著者情報

- 岡根谷実里
- 台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。2014年クックパッド入社。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
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