自律分散でコロナ禍の施策も即断即決、マルコメの組織

自律分散でコロナ禍の施策も即断即決、マルコメの組織

FoodClipでは新春特集として、食品業界を担うキーマンの思考を連載形式でたどります。今回は発酵食品メーカーとして液みそや顆粒みそ、糀甘酒に大豆のお肉など、革新的な商品を生み出しているマルコメ株式会社の自律分散型組織に注目。マーケティング部の多和氏にコロナ禍でのスピーディな意思決定や施策実行についてうかがいました。(聞き手:FoodClip編集部)

お話をうかがった方

マルコメ株式会社
マーケティング部 広告宣伝課
多和 彩織 氏

2020年振り返り

ーコロナ禍でも、自律分散型組織が活きたとお聞きしました。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、在宅勤務も早い段階から取り入れました。コロナ禍という不確定な状況下で、さまざまなコミュニケーション施策を実施しましたが、これは失敗を恐れず「即断即決」を重んじる社風と、以前より取り組んでいた自律分散型の組織が活きたと感じています。

自律分散の企業文化が具体的に活きている例として、毎週全国とつないだオンラインミーティングをおこない、従来の管理統制型で必要とされてきた会議や稟議書といったものは、コロナ禍以前より最小限にとどめた点が挙げられます。コロナ禍以前から推進していた部分もありましたが、会議や書類を減らしても機能する組織へとレベルアップした印象がありますね。


ー自律分散型組織として重要となるのは、どういった点だとお考えですか?

即断即決で動き、違うと思ったら即、軌道修正。そして、同じ轍を踏まないことです。私どもも完璧ではないので、百発百中の精度で業務を推進することは不可能です。日々の現場において関係者間で組織の垣根を越えたコミュニケーションをおこなうため、主体的な情報発信力を大切にしています。

経営サイドも現場に対する信頼に重きをおいています。これは当然ではありますが、個々人が自社のビジョンやミッションに立脚して動くことが大前提です。社員400名ほどの規模だからこそできることでもありますが、全社員が同じベクトルで日々を積み重ねている結果なのだと思います。


ー自律分散型組織でのメリット、デメリットはどういった点にありますか?

コロナ禍では個々の判断に委ねられる部分に関して、リスクテイクできない社員が出てくる可能性がありますね。今までは直接のコミュニケーションでケアしていたところが、オンラインで難しくなっている印象です。社員の個々に寄り添いながらマネジメントするという部分には、憂慮して細心の注意を払っています。一方、受けるメリットのほうが大きいと考えています。最もメリットに感じているのは、毎日のように状況が変わる中で迅速に動ける点です。むしろ、生産性は高まったのではないでしょうか。自社のビジョンにつながる個々人のビジョンを実現するために、現場主導で動いている点がさまざまな施策につながっています。

例えば、食品メーカー6社のSNS企画「#うちで食べよう」もコロナ禍で実現した施策のひとつです。キッコーマン株式会社から「1つの食材にもさまざまな楽しみ方があることを少しでも多くの方に知ってもらえたら」との呼びかけで生まれました。毎日、自宅で食事を作るお客様のお力になるべく、マルコメからは「液みそ 料亭の味」を使用したアレンジ料理などをご紹介しました。


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■「#うちで食べよう」企画
味の素株式会社、キッコーマン株式会社、キユーピー株式会社、ハウス食品グループ本社株式会社、株式会社 Mizkan(五十音順)の食品メーカー6社によるTwitter合同企画。毎週各社がレシピを投稿、キッコーマンのアカウントでまとめて発信した。


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また、注力商品の施策では液みそシリーズのトライアル層をさらに増やすべく、コロナ禍でさらに高まった時短簡便ニーズにお応えする取り組みをおこないました。例えば、液みそをお使いいただいているお客様のうち、固形の生みそと液みそを併用されている方が9割、2種類以上のフレーバーを使い分けていらっしゃる方が4割という事実をお伝えする。そこで、2020年6月に液みその累計出荷数5,000万本突破を機に、マストバイキャンペーンを絡めた調査リリースを展開しました。


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2021年は・・・

ーコロナ禍で売上伸長の理由と、2021年の抱負をお聞かせください。

不測の事態が続いた2020年でしたが、おかげさまで売上を伸ばすことができました。その背景には家庭での調理需要の高まりや、健康意識の高まりがあります。またスーパーなどでの滞在時間を短くしようとする消費者心理や試食販売ができないという環境の変化。これまで大切に築き上げてきたマルコメブランドの認知度も追い風になったと私たちはみています。

決して時代を予見できていたのではなく、マルコメの唯一にして最大の強みである「スピード重視」の取り組みの積み重ねで生まれたアドバンテージが成果をもたらしたのだと思います。2021年も引き続き自律分散で社員一丸となって、お客様へ商品をお届けしていきます。



writing support:Akira Fukui





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