CTRと購買は相関するのか? 購入率UPを狙うバナー戦略

洗剤・トイレタリー分野において国内No.1であり、世界市場でもトップティアブランドとして定着している花王。2016年に発売された新タイプの食器洗剤「キュキュット泡スプレー」では、初めてクックパッドでのカテゴリジャックをはじめとするマーケティングを実行。
セオリー通りのアプローチとは異なる手法と判断で、数々の発見を得ることができました。果たしてどんな判断でどんな成果を得たのでしょうか。当社の齋藤貴生がお話を聞きました。

花王 株式会社
デジタルマーケティング部 コミュニケーション企画室
久松健士 さん

クックパッド株式会社
マーケティングサポート事業部 部長
齋藤 貴生 

花王がクックパッドに出稿?
巨大な食のリーチメディアに期待

齋藤:食品メーカーさんとは違って、花王さんがマーケティング活動にクックパッドを選択いただいたのは、かなりチャレンジングなことだったのではないでしょうか?

久松:そうですね、驚かれました(笑)。ただ花王が提供しているのは生活動線まわりの幅広い製品ですから、例えば消費者がご家庭でクックパッドのレシピを見ているシーンに当社の製品が同居していても何ら違和感はないわけです。
なにより私たちには、データというものを有効に活かしきれていないのでは?という全社的な課題がずっとありました。その中でクックパッドの独自性というものを知りました。特にターゲットとするユーザーの生活行動データまで追っていける、という点に惹かれました。

齋藤:クックパッドはユーザー数の規模の面からLINEやInstagram等のSNSと比較されることが多いのですが、当然のことながら私たちのユーザーは食というカテゴリーで絞り込まれたユーザーです。「カテゴリーが絞られているのに利用者数が巨大。そんなメディアは他にない」と久松さんに言っていただいてハッとしたんです。忘れがちな自分たちの強みを教えていただきました。

久松:クックパッドの場合はある意味、最初からターゲティングができている。しかもスケールがあるからターゲティングメディアであり、なおかつリーチメディアでもある。非常に希少な存在だと感じました。

齋藤:私たちとしては、どんな企業さんとご一緒する時にも「この企画はクックパッドユーザーにとって本当に価値があるのかどうか」を意識するよう心がけています。
具体的には台所用洗剤の購入容量に着目をして「もともと大容量の洗剤を購入しているユーザーほど、泡スプレーの購入確率が高い」という傾向を得ました。

「では洗剤購入容量の多いユーザーは、どんなレシピを検索しているのか」という視点でデータ分析をした結果「離乳食」というキーワードに到達したんですよね?

久松:はい。実際のプロジェクトが始動する前段階で、ここまでターゲティング出来てしまうことで、クックパッドとの取り組みに確信を持つことが出来ました。
食べる、料理をする、洗い物をする、という行動シーンの中で、誰が一番洗剤を使っていて、そういう方たちがどんなメニューを高頻度で選んでいるのかがわかる。だからこそ「乳幼児を持つママさん」にアプローチをしていこう!というピンポイントの施策を進めることができました。


メッセージの勝率はCTRだけではない。
数字を疑う残す姿勢が生んだ成功例

久松:タイアップやカテゴリジャックも興味深い結果でしたが、特に面白い成果となったのは、バナー施策でした。

齋藤:「泡スプレーの機能をストレートに訴求したバナー」と「時短お弁当レシピを紹介するバナー」という2種類を掲出したんですよね。

久松:はい。結果クリック率(CTR)は前者が0.19%で後者が0.4%。デジタルマーケティングの常識でいえば「倍近く差があるのなら後者1本に絞る」のが一般的で、私たちもそのような対応をしましたが、齋藤さんからの申し入れで踏みとどまりました。

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齋藤:クリック率の良いバナーに寄せてしまうと、事後アンケートでの結果に対して分析しにくくなってしまいますからね。
社内では「どんなに高くてもクリック率はせいぜい1%程度。残る99%のユーザーさんの意向を示すものではない」という意見もあって今回は私もそう感じました。
本施策でいうと「お弁当レシピ」をクリックしたからといって、必ずしもそのユーザーさんが泡スプレーに関心を抱くかどうかはわからない。それならば、クリック以降の動向が見えてくるまで2つのバナーを継続したいと考えたんです。

久松:セオリーだと思っていた行動を疑ってみた結果、大きな発見を得ることができました。購入意向のリフトでも実際の購買結果でも、後者の商品訴求型バナーをクリックしたユーザーさんが大きく上回りました。この結果を受けて、その後はより商品の機能や魅力を訴求する方向に自信をもってシフトしていくことができたんです。

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齋藤:嬉しい結果でしたね。デジタルの強みは、たしかに数値結果を確認できるところにあるけれども、上がってくるそれぞれの数字の何を信じ、何を疑うかで効果や結果は変わってくる。本当の強みは「仮説を検証できること」にあるのだということを、私たちとしても確認することができました。熱量という指標の重要性も含め、今後も「勝率を上げるマーケティングのあり方」を一緒に追求させていただければと思います。

より詳しく知るなら[Cookpad Report]
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本記事より詳細にプロモーション施策の概要や、クックパッドからの離乳食ターゲットインサイトも紹介しています。ダウンロードはこちら





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