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植物性ミルク「オーツミルク」は身体にも環境にも優しい
近年、豆乳・アーモンドミルク・ライスミルクなどの植物性ミルクが注目を集めています。その中でも、特に欧米で人気急上昇中の「オーツミルク」について、その特長や健康効果、人気の理由を紹介します。
オーツミルクとは
オーツミルクとは、オーツ麦(オート麦)と水を混ぜたものを濾して作られた植物性ミルクのことです。
植物性ミルクとしてよく知られているものには、豆乳やアーモンドミルク、ココナッツミルクなどがあります。その中でも、オーツミルクは自然な甘みがやさしく、濃厚でクリーミーなので乳製品の代用として使いやすい食品です。また栄養価も高く美容や健康にもいいとニューヨーカーたちの間でブームとなり、近年特に注目されています。
市場調査会社ニールセンの2020年の発表によると、新型コロナウイルスの影響によりロックダウンとなったアメリカでは、オーツミルクの売り上げが、前年比300%までアップ。その理由としては、長期保存が効くという点や健康需要の高まりがあると考えられます。
オーツ麦が持つ健康効果
オーツミルクの原料となるオーツ麦は、日本語では燕麦(えんばく)と呼ばれています。シリアルのグラノーラなどでは欠かせない原料であり、さまざまな健康効果がうたわれています。
豊富な食物繊維が、腸内環境改善に役立つ
オーツ麦には、腸内環境改善に役立つ「食物繊維」が豊富に含まれています。食物繊維には、水に溶ける水溶性と、水に溶けにくい不溶性の2つのタイプがありますが、多くの野菜は不溶性です。オーツ麦は水溶性と不溶性、両タイプの食物繊維をバランスよく含んでいるのです。
コレステロールを下げる
オーツ麦に豊富に含まれている水溶性食物繊維の「大麦β(ベータ)グルカン」は、悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)を下げる働きがあります。悪玉コレステロールは、動脈硬化の原因とも言われているため、減らしておくことが重要です。
血糖値を下げて脂肪がつきにくくなる
オーツ麦は、食後の血糖値が上がりにくい低GI値食品(※)でもあります。食物繊維には糖の吸収をおだやかにする働きがあるため、血糖値の急激な上昇を抑える効果もあるのです。食後血糖値の上昇が抑えられると脂肪がつきにくくなるため、ダイエットにも有効です。
※GI値(Glycemic Index:グリセミック・インデックスの略)食後血糖値の上昇度を示す指数
摂取カロリーを抑えられる
オーツ麦は、身体の中でゆっくりと消化・吸収されるため腹持ちも良く、空腹感の解消にも効果的です。そのため、ドカ食いを防ぎ全体的な摂取カロリーを抑えることができます。
オーツミルクのメリット
オーツミルクは牛乳や他の植物性ミルクと比べ、健康面や食べやすさなどの点でもいろいろなメリットがあります。
メリット1:食物繊維が多い
オーツミルクは植物性ミルクの中でも、特に食物繊維の量が豊富です。
メリット2:カロリーが低い
牛乳に比べて脂肪分も少なく、平均30~50%程の低カロリーです。ただし、種類によって飲みやすくするために糖や人工香料、添加物が多く使われていることもあるため、成分表示をしっかりと確認しておく必要があります。
メリット3:乳糖・コレステロール・グルテンがゼロ
オーツ麦には、乳糖(ラクトース)やコレステロール、小麦アレルギーの原因となるグルテンも含まれていません。そのため、コレステロールが気になる人はもちろん、乳糖不耐性や牛乳アレルギーなど乳製品へのアレルギー、小麦やナッツアレルギーといった食品アレルギーを持つ人でも飲むことができます。ヴィーガンの人にもおすすめです。
オーツミルクを使ったレシピ
オーツミルクはただ飲むだけではなく、料理にも手軽に取り入れることができます。
オーツミルクを使った、おすすめのレシピをいくつかご紹介します。
オーツミルクのバナナスムージー by CANADOLLさん
https://cookpad.com/recipe/6356234
オーツミルクを使った和風グラタン by キッチンファーマシィさん
https://cookpad.com/recipe/5869942
注目を集めるその他の植物性ミルク
オーツミルク以外にも、近年さまざまな植物性ミルクが注目されています。
なかでも代表的なものとして挙げられるのが、アーモンドミルクやソイミルクです。
アーモンドミルク
アーモンドミルクは、水に浸したアーモンドを細かく砕き、水を加えて漉して作られたミルクです。香ばしく飲みやすいという味のおいしさに加え、低糖質で豆乳よりもカロリーが低く、抗酸化物質のビタミンEが豊富とあって、アンチエイジング効果を期待する人も増えています。近年アメリカでは、消費量が豆乳を上回るほど人気です。
ソイミルク
ソイミルクは、大豆を原料に作られたミルク、つまり豆乳のことです。大豆をすりつぶして絞った液体が豆乳、その絞りかすは「おから」になります。大豆は「畑のお肉」、豆乳も「第二のミルク」とも言われるほど、動物製食品の代用として使われることも多く、手軽に取り入れられる植物性ミルクです。また、大豆に多く含まれるイソフラボンが女性ホルモンと似た働きを持ち、美容やアンチエイジングに繋がるとあって、積極的に摂取する人も増えています。
植物性ミルクを飲むことは環境にも優しい
植物性ミルクは、牛乳の生産過程に比べて環境負荷が少ない食品です。乳牛を育てるためには、広大な土地や大量の水といった地球資源が必要です。また、エサとなる飼料を作るために肥料や殺虫剤なども使わざるを得ません。さらに、牛の口や鼻から排出されるメタンガスは温室効果ガスのひとつで地球温暖化の原因になっています。
植物性ミルクを飲むということは、地球環境に配慮したサスティナブルな選択だとも言えるでしょう。
オーツミルクはどこで買える?どこで飲める?
近頃では、スーパーやコンビニエンスストアなど、身近な場所でオーツミルクが手に入るようになってきました。大手ECサイトや外国製品を輸入している食品店、大手総合スーパーでも取り扱いが増えてきています。
◆ALPRO(ダノンジャパン株式会社)
https://www.alpro.com/jp/products/drinks/
◆GO:GOOD おいしいオーツ麦ミルク(日本コカ・コーラ株式会社)
https://c.cocacola.co.jp/go_good/oatmilk/
◆マイナーフィギュアズ(ニコウトレーディング株式会社)
https://shop.nikotrading.com/collections/oatmilk
またオーツミルクは、他の植物性ミルクと違い、温かい飲み物に入れても分離しにくく、さっぱりした自然な甘みとクリーミーな味わいがコーヒーとの相性も良いと、バリスタたちの間でも好まれています。
コーヒーショップでは、カフェラテの牛乳の代用として、オーツミルクを使用するお店も増えています。
◆KOMEDA is □ 東銀座店(コメダ珈琲)
https://www.komeda-is.com/
コメダ珈琲が展開する、プラントベース(植物由来)の喫茶店「KOMEDA is 」では、「オーツミルクコーヒー」や「カフェオーツオーレ」など、それぞれホットとアイスがオーダーできます。
◆スターバックス
https://product.starbucks.co.jp/beverage/espresso/4524785457522/?tag=new
スターバックスでは、エスプレッソにオーツミルクを合わせた「オーツミルク ラテ」の他、春の期間限定メニューとして「ハニー オーツミルク ラテ」(4/13まで)を販売しています。
オーツミルク展開拡大の兆し
オーツミルクは、単に牛乳の代替品というだけでなく、環境にも優しいサスティナブルな食材であり、栄養価も高くさまざまな健康効果も期待できるとして注目を集めています。
今後、各メーカーによる商品化が進み、スーパーやコンビニエンスストア、飲食店メニューのラインナップとしてオーツミルクの文字を目にする機会も増えていくことでしょう。
writing support:Miyuki Yajima
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