余剰食品の寄付でSDGsに貢献。フードドライブとは?

余剰食品の寄付でSDGsに貢献。フードドライブとは?

2020年のコロナ禍では、さまざまな社会課題が顕在化し、日本の貧困問題も報道などで大きく取り上げられました。フードバンク団体を通じて食料を寄付するフードドライブは、こうした問題を解決する取り組みのひとつです。フードドライブとは何か?メリットやデメリットを踏まえ、私たちにできることを考えます。

フードドライブとは?

「フードバンク」は聞いたことがある方も多いはず。では「フードドライブ」については、どうでしょうか?

フードドライブとは、家庭にある食べきれない食品などを持ち寄り、フードバンク団体を通じて生活困窮者や、児童養護施設、母子生活支援施設などの福祉施設に寄付をする活動のことです。日本ではスーパーやフィットネスジム、自治体などが中心となってフードドライブがおこなわれており、店舗の出入り口に常設されたり、イベントで限定的に開催されるなど、団体によって取り組み方はさまざまです。

フードバンクとの違いはどこに?

フードドライブのドライブ(drive)は運動を意味し、食料を寄付する活動のことを指します。対して、フードバンクは食料を集める活動で、企業からの寄付のみを対象にしている団体もあります。フードドライブは1960年代にアメリカで盛んになり、現在は誰でもできるチャリティ活動として親しまれています。また海外では食料のみならず、本を寄付するブックドライブや、衣類を寄付するクロージングドライブなどの活動もおこなわれています。

世界的な課題である「食品ロス」

貧困、飢餓ゼロなどの社会課題に対し17のゴールが設定されているSDGsで、フードドライブは複数の課題に貢献する活動です。特にゴール12の「つくる責任 つかう責任」にある食品ロスは先進国の間で深刻な問題とされており、日本の家庭ゴミには手付かずの食品が年間約2万トンも含まれているといいます。

フードドライブは、買い過ぎてしまったもの、誰かからもらって食べ切れないものなど、家庭で余った食料を寄付することから、この問題にも大きく貢献。さらには食品ロスを減らすだけでなく、他の社会課題解決の一歩にもつながっています。

フードドライブのメリット、デメリット

集まった食品は、児童養護施設や母子生活支援施設などの福祉施設、子ども食堂など、さまざまな場所で食べものを必要とする人々に届けられ、ゴール1の「貧困をなくそう」、ゴール2の「飢餓をゼロに」、ゴール3の「すべての人に健康と福祉を」などにも寄与。

子ども食堂に届く場合は、寄付した食料で作った料理をみんなで食べるため、孤食を減らす効果もあります。スーパーなど生活者の身近な場所でフードドライブがおこなわれることで、誰でも気軽に参加することができ、SDGsに対する生活者の意識も高まることが期待できるなど、多くのメリットがあります。

一方で、家庭からの食品を寄付するという特性上、食品の安全性に不安があったり、寄付される食品類が偏ってしまうなど、デメリットも少なくありません。そのため、寄付する食品にも制限があります。

寄付して喜ばれるものは?

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実際にどのような食料がNGで、どのような食料が喜ばれているのでしょうか。
下記に一例をご紹介します。(※各団体によって異なります。)

【フードドライブで寄付できないもの】
・生鮮食品
・瓶詰め食品
・賞味期限の近いもの
・包装、外装が破損しているもの

【フードドライブで喜ばれるもの】
・お米やパスタなどの主食類
・砂糖、塩、油などの調味料
・レトルト食品
・缶詰

賞味期限が長く扱いやすい食品が、配布しやすく調理するときも便利で重宝されるようです。せっかく寄付するのならば喜んでもらえるよう、誰かへギフトを贈る気持ちで参加するのもいいかもしれません。

フィットネスクラブにスーパーマーケット。
身近にあるフードドライブの活動事例

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現在も継続的にフードドライブに取り組んでいる事例を3つご紹介します。


1. フードドライブ×フィットネスクラブ「カーブス」

女性専用のフィットネスクラブ「カーブス」は積極的にフードドライブの活動をおこなっています。アメリカのカーブスでは1999年から、株式会社カーブスジャパンではフードドライブが盛んでなかった2007年から活動をスタート。毎年1回、1ヶ月ほどの期間を設けて食料を募っています。2020年は全国約2,000店舗で参加者が約18万5千人。合計約267トンもの食料が集まり、784の施設や団体に届けました。


2. フードドライブ×スーパーマーケット「ダイエー」

大手スーパーマーケット「ダイエー」を運営する株式会社ダイエーは、食を基軸にした社会貢献を目指し、フードロスへ取り組んでいます。フードバンクは2016年に大阪府泉大津市からの提案を受け、泉大津店が不定期で活動をはじめ、2018年には関東・近畿20店舗が地域のフードバンク団体と連携するなど、現在は積極的に活動をおこなっています。2018年度は、店側と客側から合わせて約6.6トンの食料を寄付し、毎年参加する店舗も増やしています。


3. フードドライブ×自治体「横浜市」

横浜市はフードバンク団体と連携し、スーパーマーケットをはじめとした地元の小売店舗や地域のお祭りなど、生活者にとってより身近に食品を寄附できる場所の設置を進めています。常設で設置されている場所も多く、2019年度に集まった食品は約1.7トンにのぼります。

また、フードドライブを実施したい団体向けに、食品回収ボックスやのぼり旗などの物品の貸し出しもおこなっています。地域のイベント、学校行事で、誰でもフードドライブが実施できる取り組みは、自治体ならではです。

「もったいない」が助け合いにつながる

生活者の身近な場所でおこなわれ、気軽に参加できるフードドライブ。根底にある「食べものを大切にし、助け合う」気持ちは、日本人が持つ「もったいない」精神とも親和性が高そうです。日本でも認知が広がり、当たり前の活動になるのも時間の問題かもしれません。



writing support:Akira Fukui





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