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コンポストで始められる、家庭の食をとりまく循環活動
環境意識の高まりや、コロナ禍によるおうち時間や自炊頻度の増加などの影響で、生ごみや落ち葉、雑草などを処理して堆肥として使う「コンポスト」に注目が集まっており、新たに始める人も増えているようです。今回は、家庭内の循環活動とも言えるコンポスト利用のメリット・デメリットの他、おすすめコンポストなどをご紹介します。
コンポストとは?
コンポストとは、家庭からでる生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を、微生物の働きを活用して発酵・分解させて作る「堆肥をつくる容器(composter)」や「堆肥(compost)」そのもののことを言います。
コンポストの使い方や自宅で簡単に堆肥・腐葉土を作れる方法などをご紹介します。
コンポストのメリット
コンポストを使うと、どのようなメリットがあるのかを整理してみましょう。
コンポストのメリット1. 生ごみの悪臭がなくなる
生ごみは温度が高い空間や時間が経つと腐敗が進みます。そのため独特の臭いが発生してしまいます。コンポストを使えば、収集されるまでの間にキッチンや家の中で放たれる生ごみの悪臭に悩まされることがありません。
コンポストのメリット2.捨てるためのビニール袋の準備も不要
生ごみを捨てるために、スーパーやコンビニなどでわざわざビニールをもらったり買ったりしている人も多いはず。コンポストならそのまま生ごみを入れられるので、捨てるためのビニールなどは必要ありません。
コンポストのメリット3.家庭菜園やガーデニングの肥料に活用
コンポストは栄養価の高い肥料として、家庭菜園や畑、ガーデニングなどに活用できます。
昨今では特に、コロナ禍で長くなったおうち時間の楽しみとして、家庭菜園やガーデニングを始める人も多くなっているので、家庭内での循環を生むことができます。
コンポストのメリット4.ごみの量、二酸化炭素排出量も軽減
水分の多い生ごみは、ごみ全体の重量比率として大きな割合を占めています。そのため生ごみを減らすことは、ごみ削減の近道。排出量が減れば処理に必要な費用はもちろん、二酸化炭素排出量の削減にも大きく貢献できるといえるでしょう。
コンポストのデメリット
しかし一方で、コンポストにもいくつかデメリットと思われるものがあります。
コンポストのデメリット1.入れて良いもの悪いものを選別
コンポストは「生ごみなら何でも入れていい」という訳ではありません。微生物の働きを利用するため、分解できるものしか入れられません。入れる前には選別が必要です。
コンポストのデメリット2.毎日撹拌するなどの手間
コンポストのなかには、毎日撹拌する必要があるものや、入れる際に細かくカットしなければならないものがあります。さほどの労力ではありませんが、新たなひと手間が少しかかってしまいます。
コンポストのデメリット3.設置場所が限られる
これもコンポストのタイプによりますが、設置する場所が限られてきます。土の中に埋めなければならないもの、分解の過程で匂いを発生させてしまうもの、大きくスペースが必要なものなどがあります。
コンポストのタイプ
コンポストには、本格的な設備のものから、初心者でも自宅で簡単に始められる手軽でオシャレなものまで、さまざまなタイプがあります。
設置型コンポスト
設置型コンポストとは、土を掘ってコンポスターの下の部分を埋めて使うものです。上部の蓋をあけて生ごみを入れていきます。また、落ち葉や雑草なども入れられます。堆肥にするまでには2~3ヶ月間の熟成期間が必要です。
回転式コンポスト
生ゴミや落ち葉などを入れて、容器ごと回転させることで堆肥化に必要な酸素を効率よく供給します。丁寧に扱わないと取っ手などが壊れることもあるので注意が必要です。
生ごみに落ち葉などを一緒に入れて回転させることで、より早く発酵、分解できるものです。値段が高めで、大きいため、庭がないと設置が難しい場合があります。
密閉型コンポスト
密閉した容器に、生ごみとぼかしなどの発酵促進剤を入れて発酵させていくものです。このぼかしとは、米ぬか、油かすなど、植物や動物由来の有機質肥料を発酵させたもの。発酵していく家庭でどうしても匂いや虫が発生してしまうため、扱いが難しいものでもあります。
ダンボールコンポスト
段ボールの中に、おが屑や藁などの資材と生ごみを入れてかき混ぜ、発生した微生物の働きで分解させるものです。価格も安く扱いが簡単なので、家庭でも手軽に始めやすいタイプです。
ミミズコンポスト
ミミズの入った容器の中に生ごみを入れると、そのミミズが有機物である生ごみを食べて堆肥に変えていくという仕組みのものです。大きな場所も取らず良質な堆肥ができるので、意外と始めやすいのが特徴です。
おすすめコンポスト4選
LFCコンポストセット(ローカルフードサイクリング)
おしゃれなトートバッグ型のコンポストでプランターとしても使える優れもの。見た目良し、機能良しの初心者でも気軽に始めやすいキットです。
ダンボールコンポスト(循環生活研究所)
段ボールをベランダなどにおいて、混ぜるだけで簡単に堆肥ができるお手軽なコンポスト。段ボールタイプは、扱いも処理もラクチンです。
パリパリキューブ(島産業株式会社)
コンパクトで置き場所に困らない、かつシンプルでスタイリッシュな見た目はグッドデザイン賞2020も受賞している生ごみ減量乾燥機です。何でもいれてOKの手軽さが、忙しい人にもぴったり。
ナクスル(株式会社伝然)
処理が簡単、ニオイもなし、省エネ、消音、室内にも置けると、コンポスト導入の際の悩みをすべて解決してくれる本格的な生ごみ処理機です。
コンポストは自作できる?!
作り方や使い方は?
コンポストはDIYで自作することも可能です。生ごみと土を混ぜれば、発酵が進んで堆肥になっていきます。
最も安価、かつ簡単にできるのは、ダンボールコンポストです。作り方は簡単。ダンボールに水分をしっかり切った生ごみと土を加えます。定期的(1日1回)に混ぜて空気を入れて、発酵を進ませます。入れ物がいっぱいになってしっかり混ぜたら、あとは1~2ヶ月放置して熟成を待ちます。2週間に1回程度は混ぜて新しい空気を送り込むのがおすすめです。
ただし、悪臭や虫が発生する可能性もあるので、自作する際にはリスクにも気を付けましょう。
コンポストで分解されやすいもの、分解されにくいもの、分解できないもの(入れてはいけないもの)についても紹介します。
【分解されやすいもの】
・野菜のクズ
・ごはん
・卵の殻
【分解されにくいもの】
・生のお米
・野菜の皮で硬いもの
・魚や肉などの骨
・果物の種
【分解できないもの】(入れてはいけないもの)
・貝殻
・割りばしや楊枝
・腐った生ごみ
・ビニールなど分解できないもの
気軽に始められる食の循環活動!
家庭の生ごみをコンポストへ
コロナ禍の現在、自宅で料理をする機会が増え、家庭から出る生ゴミも増えているのではないでしょうか? コンポストでできた堆肥は、栄養豊富です。家庭菜園やガーデニングなどで使うのはもちろん、学校や農家などに送って使ってもらうなど、地域に還元することもできます。
捨ててしまうと「ごみ」になるだけの生ごみも、コンポストで土の栄養(堆肥)に変えることで、サステナブルな未来への貢献につながっていくのではないでしょうか。
writing support:Miyuki Yajima
著者情報

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