食用コオロギとは、次世代タンパク源として新たな食材に

食用コオロギとは、次世代タンパク源として新たな食材に

近年、世界各国の市場が動き出し、日本でも話題になってきた昆虫食。なかでも、食用コオロギの生産や商品開発に乗り出す企業が増えてきました。なぜ、コオロギが注目されるのか、そのメリット・デメリットをふまえて詳しく解説します。

食用コオロギとは

食用コオロギとは、食材として食べるコオロギのことです。コオロギは重さの6~7割がタンパク質であることから、新たな食の選択肢として広がりを見せつつあります。

近年は、「サステナブル」の観点から環境負荷の少ないタンパク源として昆虫食が注目され食用コオロギも支持されはじめています。

国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、地球の人口増加により、2050年には肉の全体消費量が現在の1.8倍に増加する見込みだといいます。この世界的なタンパク質不足を救う存在として、近年注目を浴びているのがコオロギなどの食用昆虫なのです。

食用コオロギがなぜ注目されているのか

数ある昆虫食のなかでも、特にコオロギが食用として注目されているのは、栄養価の高さ、原料が調達しやすいという点が挙げられます。数年前から少しずつ注目されてきましたが、昨年(2020年)5月に無印良品で「コオロギせんべい」が発売され、一気に関心が集まりました。オンラインショップ限定で発売されたものの、発売初日に完売。多くの人にインパクトを与えました。

食用コオロギの気になるメリットとデメリット

食用コオロギのメリット1. 栄養価が高い
コオロギは食肉と同程度のたんぱく質が含まれているほど、高たんぱくです。また、鉄やマグネシウム、カルシウムも豊富に含まれていて、全体的に栄養価の高い食材なのです。

食用コオロギのメリット2. 効率的な生産、安定的に供給
コオロギは、牛や豚などに比べて育てるための飼料(エサ)が少なく済むため、コストやエネルギー的にもとても効率的です。さらに成長が早く、生産~出荷までが最短1週間程度と短い期間で安定的に供給できます。

食用コオロギのメリット3. 環境負荷が少ない
家畜と比べて水やエサが少なく、成長のスピードが早いということは、単純に少ないエネルギーで生産できるということです。この点で環境への負荷も少ないということになります。また、コオロギは雑食で人間の残飯などもエサにできるため、食料廃棄問題の解決の一助として期待できます。


食用コオロギのデメリット1. 販売価格が高い
生産コストがかからないとはいえ、現状では需要と供給のバランスや流通量の問題で、どうしても価格が高くなっています。ニーズが増えていけば、その分コストは下がっていくでしょう。

食用コオロギのデメリット2. 見た目のイメージ
虫という見た目のイメージが強く、栄養価が高くてもどうしても食べづらいと感じる人がいます。心理的に抵抗感があると、普及しづらいという側面もあります。

食用コオロギで病気やアレルギーになる?

コオロギをはじめとする昆虫は、甲殻類と近いため、人によってはアレルギーを引き起こす可能性があります。そのため、甲殻類アレルギーを持っている人は注意が必要です。

また生き物である以上、細菌・ウイルス・病原体などを持っているリスクもゼロではありません。特に自然採取したものは、何をエサに食べてきたのかもわかりません。
最低限、どんなエサを食べて育ったのがわかる物を選ぶ、しっかりと加熱調理をしてから食べる、この2点に注意しておきましょう。

おいしい食用コオロギベスト5

見た目に少し抵抗があるかもしれませんが、実はコオロギは雑穀やナッツのような香ばしい風味が特徴で、さまざまな食材と相性抜群です。ここではおいしい食用コオロギ製品ベスト5を紹介します。


無印良品(コオロギせんべい)
食用コオロギが注目される火付け役となった商品です。発売当初は即完売となりましたが、2021年1月から取り扱い店舗を拡大し、現在は北海道から九州まで全国の店舗で購入できます。
https://www.muji.com/jp/ja/feature/food/460936


Pasco(コオロギフィナンシェ、コオロギバゲット)
敷島製パン株式会社(Pasco)が2020年12月より、オンラインショップでの数量限定発売をスタートした、コオロギパウダーを練りこんだフィナンシェやバゲット。
https://www.pascoshop.com/Page/LP/korogi/


Bugs Farm(チョコレートコオロギ、コオロギスナック)
食用昆虫(昆虫食)を取り扱う通販サイト「バグズファーム」で販売されているお菓子です。
https://bugsfarm.jp/bugs/crickets/


INNOCECT(サステナブルなコオロギプロテイン)
環境負荷が大きいホエイではなく、コオロギの粉末と植物性プロテインを配合したプロテイン。人工甘味料や乳製品、グルテンは使っていません。オンラインサイトから購入できます。
https://innocect.com/


昆虫食 TAKEO(昆虫ロースト 広島こおろぎ)
「人にも環境にも虫にもやさしく」をメッセージに、昆虫食を専門に扱うTAKEO。広島の地でアーモンドをたっぷり食べて育った広島こおろぎのロースト。まるまる肥ったフタホシコオロギで、含まれる脂質は通常のコオロギの1.7倍程度(当社比)にもおよぶコオロギ界の大トロなのだとか。
https://takeo.tokyo/?pid=152065589

 

やがて昆虫食の未来がくる?

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見た目は少し抵抗がある食用コオロギですが、乾燥して粉末状になってしまえば、その姿はほとんど気にならないはず。高たんぱく・低カロリーでSDGsにも貢献してくれる食材と成り得るならば、食用コオロギをはじめとする昆虫食が、今後身近な食材となっていくのかもしれません。

昆虫食については、こちらの記事でも詳しくご紹介しています。
https://foodclip.cookpad.com/5334/



writing support:Miyuki Yajima





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