クラフトビールはブームでなく定番に。その魅力とは

クラフトビールはブームでなく定番に。その魅力とは

近年、空前のクラフトビールブームが到来し、市場は拡大。現在はコンビニやスーパーなどでも取り扱いが増え、生活者のアルコールの選択肢として定着することが期待されています。クラフトビールとは何かを解説しながら、市場の変化や新しいサービスについてご紹介します。

クラフトビールとは?
地ビールとの違いはある?

クラフトビールとは、大手メーカーからは独立し小規模生産されるビールのことです。全国地ビール醸造者協議会(JBA)では下記のように定義され、クラフトビールと地ビールを明確に区別していません。

「クラフトビール」(地ビール)とは

  1. 酒税法改正(1994年4月)以前から造られている大資本の大量生産のビールからは独立したビール造りを行っている。
  2. 1回の仕込単位(麦汁の製造量)が20キロリットル以下の小規模な仕込みで行い、ブルワー(醸造者)が目の届く製造を行っている。
  3. 伝統的な製法で製造しているか、あるいは地域の特産品などを原料とした個性あふれるビールを製造している。そして地域に根付いている。

クラフトビールブームはいつから?

国内でビールが小規模に造られるようになったのは、1994年以降。酒税法改正により、年間最低製造数量が大きく引き下げられ、全国各地で地ビールが造られるようになりました。町おこしなど地域貢献に繋がることから、1990年代に第1次クラフトビールブームとも言われる、地ビールブームが巻き起こりました。

この後、醸造などの技術進歩による味わいの進化により、徐々に造り手も飲み手も増え、2000年代に第2次クラフトビールブームの波が到来。「よなよなエール」で知られるヤッホーブルーイングの登場や、国内のブルワリーが世界的に評価されるなど、お土産のイメージがあった「地ビール」から職人が造る「クラフトビール」へと生活者のイメージが変化していきました。

近年の第3次ブームでは、大手ビールメーカーも参入するなど、市場も拡大。コンビニやスーパーでの扱いも増え、先に紹介したクラフトビールの定義にとらわれない商品も発売されています。このため、品質を重視したビールや、ビール職人の高い技術によってつくられるビールが「クラフトビール」と呼ばれることも増えています。

クラフトビールの人気の秘密は
多様性にあり

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クラフトビールの人気のポイントとして、製造方法や味わいの多様性が挙げられます。原料や醸造方法の組み合わせなどによって、分類されるビアスタイルは100種類以上。一方で国内の大手ビールメーカーで造られる代表的なビアスタイルは数種類と少なく、クラフトビールの多彩な味わいがビールの苦味が苦手な層にも受け入れられ、新たな飲酒層も開拓しています。

加えて、小規模生産のため日本各地で醸造可能で地域性が発揮できることや、世界のビール文化がベースにあることから、バックボーンも多様。各ブルワリーに物語があり、飲み手の心を掴むポイントにもなっています。

増え続ける国内ブルワリー

国内にあるクラフトビールのブルワリーはブームのたびに増加し、2017年度には500箇所以上に。第3次ブームの2010年代後半以降も増え続けています。代表的な国内のブルワリーを3つ紹介しましょう。

コエドブルワリー
▶︎https://www.coedobrewery.com/jp/
第1次クラフトビールブーム真っ只中の1996年に埼玉県川越市で誕生。地ビールの草分け的存在で、「COEDO」をはじめ川越名物を原料に使用したビールを醸造、販売しています。(現在は醸造所を東松山市に移転)

常陸野ブルーイング
▶︎https://hitachino.cc/
茨城県にある1823年創業の酒蔵「木内酒造」が1996年にスタートしたクラフトビールブランドです。茨城県や東京都内にビアパブを出店し、近年はウイスキーやクラフトジンの蒸留も手がけています。

うちゅうブルーイング
▶︎https://uchubrewing.com/
2017年に立ち上がった山梨県のブルワリーです。クラフトビール好きから人気で、販売開始直後に売り切れてしまうことから、商品の争奪戦が「うちゅう戦争」と呼ばれることもあります。

オクトーバーフェストも定着
コロナ禍以降は家飲みにシフト

近年では、クラフトビールはスーパーやコンビニ、オンライン販売のみならず、イベントにも波及しています。クラフトビール定着にともない、日本でもオクトーバーフェストが開催されるようになりました。オクトーバーフェストは本場ドイツでは16日間で600万人以上が訪れるビールの祭典ですが、日本でのオクトーバーフェストは屋外のイベント広場などで開催される、ライトなイベントを指します。ビアガーデン感覚で参加できる秋の外飲みイベントとして定着し、クラフトビールの認知拡大にも貢献しました。加えて、近年はヤッホーブルーイングやコエドブルワリーなど、独自で祭りを開いている醸造所も多く、ファンとの関係性構築の一手となっています。

コロナ禍以降はオクトーバーフェストなどのイベントも縮小。飲食店の自粛や家飲み需要の高まりにより、クラフトビールのサブスクなど、オンラインでの販売手法も多様化しています。
今後は市場の拡大により、生活者の楽しみ方も多様化していくと考えられます。これまでビールを手に取らなかった層には家飲みを豊かにするアルコールドリンクとして、クラフトビール好きとってはディープに楽しむカルチャーとして浸透していくでしょう。



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