宅飲み応需の新商品発売!おやつカンパニーの開発力

宅飲み応需の新商品発売!おやつカンパニーの開発力

2021年2月1日、株式会社おやつカンパニーより「ひとくち居酒屋おつまみ丸」が全国発売されました。宅飲みシーン拡大に着目し開発された新製品で、「食べた瞬間、居酒屋キブン。」が楽しめる。スナック菓子におつまみ需要を見出し、お酒を想起させる新製品を生み出すまでの過程と、プロモーション戦略についてうかがいました。

新シリーズ「ひとくち居酒屋おつまみ丸」

2021年2月1日、株式会社おやつカンパニーより「ひとくち居酒屋おつまみ丸」が全国発売されました。宅飲みシーン拡大に着目し開発された新製品で、「食べた瞬間、居酒屋キブン。」のコピー通り、居酒屋の一品料理のような味わいが楽しめます。駄菓子、スナック菓子のカテゴリーにあるベビースターラーメンを主力とする同社がおつまみ需要を見出し、ビールやレモンサワーを想起させる新製品を生み出すまでの過程と、コロナ禍におけるプロモーション戦略についてうかがいました。

お話をうかがった方

株式会社おやつカンパニー
マーケティング戦略部 田中 雅洋 様


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ベビースターのおつまみ需要が背景に

ーおやつカンパニーというとベビースターラーメンなどの駄菓子のイメージがあります。「ひとくち居酒屋 おつまみ丸」のようなおつまみ特化型の製品は、いつ頃から販売されているのですか?

“おつまみ”をブランド名に冠する製品は、1999年に発売したピリ辛のベビースターラーメンとピーナッツが一緒になった「ラーメンおつまみ」が最初です。

ピリ辛い味付けの麺にピーナッツを加えた飲酒ユーザー向けの製品で、1990年代に開発員がビールとベビースターラーメンを手にレジに並ぶお客様を見て、着想を得たと聞いています。


ー今でこそ、菓子をおつまみとする視点は浸透していますが、そんなに早い段階で発売されていたんですか。

「ベビースターラーメン(※当時の名称は「ベビーラーメン」)」は1959年に発売され、子ども向けの製品として、それに寄り添うブランディングを続けてきました。

1990年代は会社として過渡期にあり、従来の駄菓子市場からポテトチップスなどが並ぶスナック菓子市場への進出に注力していた時期でした。同時期にはベビースターラーメンを進化させた幅広麺の「ドデカイラーメン」やビッツ状に固めた「ラーメン丸」を発売しており、「ラーメンおつまみ」もそのうちの一つ。発売して間もないにも関わらず、おつまみスナック菓子のカテゴリーでトップグループに入るほど、売れ行きが好調だったと聞いています。


ー当時からおつまみ需要のユーザーのベースを築いていたのですね。

開発当初から、スナック菓子ユーザーの中におつまみとして買う層が一定数いるのは認識していたと思います。また、近年の意識調査においてもスナック菓子をお酒のおつまみとして購入するスコアが伸びており、現在は明確にそういったユーザーをターゲットにおつまみ系統のスナック菓子を販売しています。

今回の製品については、ベビースターを一口サイズにした「ラーメン丸」の製造技術を活かし、おつまみニーズに対応する製品開発をかなり前から進めていました。市場としてニーズの拡大も汲んで、2019年頃から具体的な企画が進んでいたところでコロナ禍になりました。生活者の在宅時間の伸長≒余暇時間が増えたことで、おつまみ需要の応需ブランドとして「ひとくち居酒屋おつまみ丸」と明確に示した名称にしました。

宅飲みに求められるリアルでリッチな味わい

ー宅飲み、おつまみ、お酒といった部分が大きなキーワードですよね。クックパッドでは2020年に「おうち居酒屋」というキーワード検索が急激に伸びたり、いつもよりワンランク上の食材や一手間加えた料理が求められる傾向にありました。

生活者の居酒屋に行きたい、店の味を食べたいという欲求の高まりもあり、「ひとくち居酒屋おつまみ丸」は居酒屋キブンを味わえるのがコンセプトになりました。それに沿って、フレーバーもお酒に合う居酒屋メニューの味わいにしたんです。


ー今回、唐揚げ味と豚キムチ味で勝負されたのは、やはり居酒屋の味にこだわってのことでしょうか?

「居酒屋メニューの中で、スナック菓子として食べてみたい味」を生活者に調査した結果から、フレーバーを選定しました。最近人気のレモンサワーとの相性も良い唐揚げに加えて、豚キムチはフレーバーラインナップの中で、極めて再現性が高いという社内の評価も含めて選定されています。既存製品ですと塩味、醤油味、ソース味といったシンプルなフレーバーがほとんどなのですが、今回はさまざまな食材が混ざり合った一品、まさに“料理”をイメージしているので、複雑な味の調和を再現するのには苦労しましたね。

今回の製品には、通常のベビースターラーメンに具材を加えて一緒に固めるという「ラーメン丸」の製造技術を使っており、この開発には大変苦労したと聞いています。ただ、こうした技術があったからこそ、おつまみ応需型に振り切ったブランドを作れたというのもあります。


ーリッチな味わいでありながら、口寂しいときに食べられるという特性も今の時流マッチしていますよね。お酒を想起させるクリエイティブにもこだわったとうかがいました。

酒業界のトレンドとしてレモンサワーブーム以降、各種チューハイやハイボールなどのRTDが拡充している動向をみていたので、スーパーやコンビニなどで販売されているお酒を合わせたくなる世界観作りにこだわりました。

おつまみブランドであることを知らしめる全体のトンマナ、シズル感の演出。その上でのアルコールとの相性の訴求は何度も調整しました。パッケージは居酒屋をイメージして、背景に唐揚げ味はレモンサワー、豚キムチ味はビールのテクスチャを使用しています。

コロナ禍でデジタルプロモーションを強化

ークリエイティブやプロモーション戦略などで、コロナ禍に対応した変更はありましたか?

外出自粛の期間もありましたので、クリエイティブの面では、本当は居酒屋に行って飲みたい気持ちだけれど、今日はこれで我慢するといったメッセージを加えました。

プロモーションの面では現在も店頭販促が仕掛けにくい状況にあり、従来から進めていたデジタルプロモーションの強化を主軸に展開。アルコールメーカーや飲食店と協業したSNSキャンペーンをおこないました。

協業してくださった企業のアカウントをフォローしているユーザーは、皆さんアルコールを飲まれる方が多いので、製品について効率良くダイレクトにお伝えする方法として選びました。ご購入いただいたお客様の反応を見る限り、お酒を合わせたSNS投稿も見られ、アルコールとセットで楽しむ製品という印象づけも含め、狙い通りに作用したかと思います。

当初、販売実績の長い「ラーメン丸」と同一視されるのではないかと心配していたのですが、新しいシリーズブランドと認知していただけ、従来の「ラーメン丸」を食べていないお客様にも響いたようで嬉しく思っています。

ながら食べや、健康志向。今後の食卓の変化は

ー今回は宅飲み需要をうまくキャッチした製品の開発ということですが、そのほかに気にされている食トレンドはありますか?

間違いなく在宅に関係するトレンドは増えていて、我々の意識調査においては、誰と食べるかという観点では配偶者・子どもが、シーンとしては、ゲームしながら・仕事しながらという、ながら食べが伸長していますね。ほんの1年前までならば、朝昼夜の3食の食事と間食などと区切られていましたが、withコロナになってから、その垣根が若干薄くなってきていると考えます。故にそういったステイホームのシーンに適合できたスナック菓子ブランドがもれなく、スコアが良かったと捉えています。


ー通勤などがなくなった分、可処分時間が増えて家での過ごし方も変わりましたよね。口寂しいから何かをしながら食べる、ちょっとご褒美が欲しいといった需要も増え、ランチや仕事中に食べるものも変化していますね。

さらにその上で、在宅で運動不足を気にされたり、飲酒時間や頻度アップによる健康への意識が高まったりと、健康志向も確実にトレンドといえます。


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タンパク質と食物繊維を摂取することができる、粒状大豆たんぱくを主原料とした、高タンパク大豆スナック菓子


ー健康志向でいうと、大豆たんぱく使用のスナック菓子「BODY STAR プロテインスナック」も発売されてますよね?

「BODY STAR プロテインスナック」はタンパク質20g配合ながら、日常生活の中で気軽に楽しめるスナック菓子です。昨秋から一部でのテスト販売をおこなっており、ターゲット設定した層からのご支持をいただいています。

コロナに関わらず少子高齢化が進み、健康志向が高まっていく中で、スナック菓子を本業としているメーカーとしてできることがあるかを中期的に検討して、やっと作り上げた製品で、3月15日(月)より全国のスーパー、ドラッグストアにて順次展開します。


ー今後、健康事業を拡大させていかれるのでしょうか?

正直、健康事業は一筋縄にはいかないところだと考えています。健康に良いだけを考えるとサプリメントでもいいわけです。プロテインを含有しながらも、スナック菓子元来のおいしさを保つ。健康とおいしさを両立できるのが、まさに私たちのできるところです。このあたりは今後、試行錯誤して少しずつ磨いていく部分かと思います。


ースナック菓子って、ストレスがたまると欲しくなる歯ごたえや味わいがありますよね。それが罪悪感なく食べられるようになると、とても心強いです。スナック菓子に求められているストレス解消と健康ニーズをキャッチアップされているのはさすがですね。

春〜夏に向けたお酒需要をキャッチ


ー今後の商品展開やプロモーション戦略は、どのように展開されるのでしょうか?

「ひとくち居酒屋おつまみ丸」については、春から夏にかけたビールの消費が伸びはじめる時期に新フレーバーを発売する予定で、引き続きアルコールメーカーなどと協業したプロモーション施策を展開していきます。

おつまみという切り口でいうと、「ラーメンおつまみ」は非常に販売を伸ばしており、「お酒×ベビースター」が最高に合うという理解促進を進めています。2019年の12月ごろからベビースターの“ベビー”とビールを合わせて「ベビール」というワードで、最適な組み合わせだというメッセージをビールとベビースターの音と映像でシズル感たっぷりに伝えています。こちらは、声優の内田真礼さんを起用したWeb広告にて配信しています。

現在はレギュラー商品のメインショッパーは30~40代であり、今回の製品はお酒を飲む大人がターゲットです。ただ、我々は祖業が駄菓子というところもあって、お客様のエントリーはベビースターラーメンが多いのかもしれません。まさに子どもから大人までがお客様。これからも皆様に愛されるよう尽力していきます。



writing support:Akira Fukui





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