[ミニトマト農家のチャレンジ日記]農業を取り巻く課題

[ミニトマト農家のチャレンジ日記]農業を取り巻く課題

皆さんは、愛知県渥美半島にある田原市を知っていますか? 全国市町村別農業産出額が、5年連続で日本一という農業がとても盛んな地域です。そんな田原市でミニトマト農家を営まれている小川さんに、トマトの栽培方法、農業の魅力と課題、そしてこれからの農業について熱い想いを語っていただく連載コラムです。

ミニトマトは最盛期に入ります!

こんにちは!ミニトマト専門農家の小川浩康です。
だいぶ暖かくなってきて、ついに春がきた!という感じですね。私の育てているミニトマトも赤くなるペースが速くなってきて、いよいよこれから最盛期に入ります。

今回は、「農業の課題って何?」そんな疑問に微力ながらお答えできたらと思います。

日本の農業は衰退している?!

「日本の農業は衰退している」近年こういった話をよく耳にします。農業をやっている身としては心苦しいですが、まぎれもない事実です。現状そもそも農業人口が減っています。農林水産省の発表では、2010年では260万人だった農業人口が、2019年には168万人となり、9年間で約3割も減少しています。

そして皆さん、農業従事者の平均年齢をご存じですか?
な、な、なんと!農平均年齢、67歳なんです。

一般企業であれば、ほとんどの方が定年退職している年齢ですよね。私の祖父も86歳で現役農家、ちなみに私は31歳なので、かなりの若手農家です。

農家の高齢化の主な要因は、なんといっても「後継者不足」にあります。農家に生まれても、農業を仕事にしようとする人が少ないんですよね。実際に私の周りでも、家業を継がずに地元を離れる友人が多くいました。また、農家の嫁不足も問題になっています。農家は生き物を相手にする仕事なので、基本的に休みがなく、大変だというイメージもあるかもしれません。

生産者と消費者の距離

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今の時代、スーパーに行けば欲しい野菜が季節や旬に関係なく、いつでも手に入ります。「スーパーで野菜を選ぶ基準は?」と聞かれた時に、ほとんどの方は安いか高いか(値段)、おいしいかまずいか(味)と答えるのではないでしょうか。

では、その手に取った野菜を作った人の顔は浮かびますか?自分の食べようとしている野菜がどのように作られたかを知っていますか?ほとんどの方が「NO」と答えるでしょう。なぜなら、「生産者と消費者の距離が遠い」からだと思います。私自身、これが農業の一番の課題だと思っています。

野菜がスーパーに並ぶまでには、さまざまなストーリーがあります。種を撒いて、実がなるまで数ヶ月大切に育て、収穫、出荷作業(選別)、そしてやっとお店に並びます。同じ野菜でも、生産者が違えばその野菜が持つストーリーも違います。ただ、1点共通していることは、「ひとつひとつに生産者の想いが込められている」ということです。

野菜を育てることは、決して簡単なことではなく、それぞれの農家が、多くの時間と労力をかけ、丹精込めて野菜作りをおこなっています。近年「フードロス」なんて言葉がよく出てきますが、一生懸命育てた野菜が捨てられてしまう。農家として、こんなに悲しいことはありません。

当たり前ですが、大人も子どもも誰もが食べなければ生きていけません。ゆえに、農業をはじめとする第一生産業は消費者と深い関わりがあるはずなのに、生産者、消費者ともにお互いのことを知らないんです。

その原因として、まず周りに農家がいない。農家の人口が減少しているわけですから、そりゃそうですよね。そして農家のイメージは、職人気質で無愛想で、近寄り難いなんて話もよく聞きます。

逆に農家側の視点では、自分の作った野菜の出荷後の様子を知ることができないんです。多くの農家は農協や市場に出荷しており、言ってしまえば出荷しておしまい。どこでどんな方が食べてくれて、どんな感想を持ってくれたのかがわからないのです。

新しい農家のかたち

ここ最近では、若手農家を中心にSNSなどで情報発信をすることも増えてきました。また、生産者と消費者がSNSなどを通じて直接コミュニケーションができるようになり、少しずつ両者の距離が近くなってきたように思います。

私自身も、主にTwitterとZoomを使って情報発信をしていますので、消費者との距離が近くなっていることは身をもって実感しています。

また、収穫体験や生産者がわかる野菜を購入する(直売所、産直EC等)といった動きも活発になってきました。農家としては、消費者の生の声が聞けることはとても嬉しいことですし、何よりモチベーションアップに繋がります。「もっとおいしい野菜を作ろう!」という気持ちになります。

おいしいの言葉が農家を育てる

農家は水と肥料を与え、野菜を育てます。消費者の「おいしい!」の一言は、農家を育てます。つまり、消費者は農家を育てる生産者でもあるのです。

まずは、消費者の皆さんに農業について知ってもらうこと。そのためには、農家が積極的に情報発信していくことが大切だと考えています。より多くの方に情報を目にしてもらい、農業に対するイメージや考え方に変化が起これば、日本の農業はもっと盛り上がっていくはずです!

濃厚接触ではなく、農耕接触をぜひお願いしたいと思っています(笑)。
それではまた次回お会いしましょう!





著者情報

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小川浩康
大学卒業後、愛知県の種苗会社に就職。4年間社会人を経験し、愛知県の渥美半島の田原市でミニトマト農家に。自転車で四国一周・九州一周。車で日本一周。TBS「SASUKE」にも出場。
https://www.aichi-atsumichantomato.com
https://twitter.com/atsumichantomat