なぜ、アウトドア企業のパタゴニアはビールを創ったのか

なぜ、アウトドア企業のパタゴニアはビールを創ったのか

パタゴニアのオーガニック食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」をご存知ですか?「地球を救うためにビジネスを営む」と宣言する同社の製品について、前後編の2回にわたってお話をうかがいました。今回は前編をお届けします。

お話をうかがった方

パタゴニア・インターナショナル・インク 日本支社
パタゴニア プロビジョンズ マネージャー
近藤 勝宏 氏

1973年生まれ。神奈川県出身。1995年、パタゴニア鎌倉ストアのスタッフとしてパタゴニアに入社。その後、ビジュアル・マーチャンダイジングの立ち上げ、複数のストア、マーケティング部門のマネージャー等の経験を経て、2016年、パタゴニアの食品事業「パタゴニア プロビジョンズ」の日本担当マネージャーに就任。同年、同事業を日本市場で立ち上げ、いまに至る。日頃からサーフィンやスノーボードなどアウトドア・スポーツを愛好し自然と親しみながら、正しく選び食べることは、人々の健康のみならず、個人ができる最も効果的な気候変動対策として捉え、積極的にメッセージを発信するとともに、自身も自然に則した農法による米作りや農業に挑戦し、より環境負荷の少ないライフスタイルを探求している。

環境問題を持続的に解決するための
食品のあり方

ーパタゴニアのクラフトビールは2019年のアメリカ国内のグッド・フード・アワードを受賞し、トップクラスと称されるビールですよね。私も味わいましたがフルーティで程よくドライでとてもおいしかったです。なぜアウトドア企業のパタゴニアがクラフトビールを製造するようになったのでしょうか?

アウトドア企業がなぜ?と不思議に思いますよね。新しい方に出会うといつも聞かれることなので、この質問も慣れっこです(笑)。アウトドアウエア企業のパタゴニアがクラフトビールをはじめ、缶詰やスナックを製造しているのは決してビジネスメリットを感じているわけだからではありません。これにはパタゴニアのビジョンと大きく関係があり、我々なりの環境問題への「解決策」だったりしています。


ーパタゴニアのクラフトビールと聞き、キャンプにぴったりでファッション性も高いから、ということではないのですね。

はい。自然と深く結びつくパタゴニアが、環境問題と向き合った結果行き着いた先が、食品事業なんです。詳しく説明するためには、パタゴニアの始まりをご説明していきますね。

パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナードはアウトドア愛好家で、ロッククライミングを得意としていました。「自然の中で」遊びながら、ロッククライミングで岩肌を傷つけていくことをはじめ、パタゴニア製品を活用・楽しむための環境全体を、自らが生み出した習慣によって自然を傷つけていることに、胸を痛めていました。


ー自然が好きで、自然の中で活躍する製品を開発していき、たくさんの人間が自然の中で過ごすようになって、いつの間にか「自然」を壊していたことに気づいたのですね。

そのため、岩肌を傷つけないクライミングギアを開発したり、1996年にはコットンをすべてオーガニックコットンに切り換えたりと、環境への不必要な悪影響を最小限に抑える努力を続けてきました。 しかし、世界全体を見ると、効率と利益の最大化が優先されて、有毒な除草剤と農薬、合成肥料などで表土が復元するよりも早く破壊されてしまう状態だったんです。

工業型農業の将来を膨らませる方法は見いだせたとしても、それを実現するには、収益の減少、数百万の小規模農家の失業、有毒化学物質による人間と生態系への危険性の増大、栄養価の低下など、多大な代償を負わなければならないことに気づいていったんです。そんな課題の中で、リジェネラティブ・オーガニック農法というものを見つけたのです。

そしてたどり着いた
リジェネラティブ・オーガニック農法

ーリジェネラティブ・オーガニック農法、ちょっと難しそうですがどんな農法なのでしょうか?

これは、決して最近発明された農法ではなくて、何世紀にもわたる伝統的なやり方です。健全な土壌を構築しながら、作物を生み出す。それは、より多くの温室効果ガスを吸収し、減少させる可能性があります。プロビジョンズの製品は、そんな環境修復につながる食材を使った加工食品を提供しています。

ビールの原料「カーンザ」は
地球を救う未来的穀物

パタゴニアのクラフトビールもまた、環境修復につながる多年生穀物の「カーンザ」から作られているんです。


ー「カーンザ」という穀物は初めて聞きました。


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Jim Richardson (C)2021Patagonia, Inc.


アメリカのカンザス州で30年以上の品種改良を経て作られた穀物です。ビールの一般的な原料は小麦は「一年生」で1年経てば枯れてしまいますが、この「カーンザ」は多年生のため何年も成長するので畑を耕したり農薬を使わず育てることができます。あと従来の小麦に比べて水の量が少なくても生育できるので土壌の浸食を防ぎ、一年生穀物よりも多くの二酸化炭素を土壌に閉じ込めてくれます。そして期せずして、おいしいビールができることもわかってきました。まさに理想的な原料です。


ーまた飲みたくなってきました。確かによく見るとビールのパッケージにも「カーンザ」が描かれていますね。

そうなんです。プロビジョンズのオンラインショップはもちろん、都内だとビオセボン麻布十番、外苑西通り、富ヶ谷、竹芝、藤沢店(都内4、神奈川1)→関東だと銀座ロフトや、ビオセボン麻布十番、外苑西通り、富ヶ谷、竹芝、赤坂、中目黒、碑文谷、横浜元町、武蔵小杉、藤沢店(都内7、神奈川3)で取り扱っていますので、手にとってみてくださいね。

【ビオセボンでの取り扱い状況】
◆現在、ビール、食品両方の取り扱いがある店舗
麻布十番、外苑西通り、富ヶ谷、竹芝、藤沢、赤坂、中目黒、

◆現在、食品のみ取り扱いがある店舗
四谷三丁目、たまプラーザ(フルーツバーのみ)
※4/6以降に池尻が追加

◆現在、ビールのみ取り扱いがある店舗
横浜元町、武蔵小杉、碑文谷
※4/6以降に横浜元町、武蔵小杉でも食品がスタート

パタゴニアのビールは、未来への乾杯でもある

ーパタゴニアのビール製造が、環境意識への解決策だったことが実によくわかりました。

パタゴニアの企業ミッションは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」。アパレルでもフードでも目指すゴールは同じなのです。


パタゴニア プロビジョンズについて詳しくはこちら
https://www.patagoniaprovisions.jp/



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