コロナ禍での適切なコミュニケーション戦略とは?

コロナ禍での適切なコミュニケーション戦略とは?

クックパッドと、子どもを出産したママたちが利用する女性向けQ&Aアプリ「ママリ」を運営するコネヒト株式会社が共催セミナーを開催。生活者のニーズや現状を捉えるポイントを解説しました。

生活者ニーズの変化をどう捉えるべきか

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う、外出自粛要請や緊急事態宣言が発令されてから一年、生活者の消費行動や生活様式は大きな変化に晒されてきました。

内食需要の圧倒的な拡大や「おうち〇〇」のトレンドなど、さまざまな動きがありましたが、「収束後も生活習慣は以前のようには戻らない」と言われる中で、トレンドが一過性のものなのか、それとも継続して生活者に受け入れられるものなのか、判断に困っているという声をメーカー様からもよくいただくようになっています。

クックパッドでは、そうした課題に対して解決のヒントをお伝えできるよう、子どもを出産したママの3人に1人(※)が利用する女性向けQ&Aアプリ「ママリ」を運営するコネヒト株式会社とご一緒に、「生活者ニーズの変化から商品価値を捉え直す これからのコミュニケーション戦略とは?」と題した共催セミナーを開催しました。3月16日におこなわれた本セミナーのレポートをお伝えいたします。


※:「ママリ」で2019年内に出産予定と設定したユーザー数と、厚生労働省発表「人口動態統計」の出生数から算出。

セミナー登壇者

コネヒト株式会社
プロダクト企画室 
小椋 友季 様 (以下、敬称略)

クックパッド株式会社
マーケティング事業開発室 室長
齋藤 貴生

続くコロナ禍、現状を捉える5つのポイント

まずは、クックパッド株式会社マーケティング事業開発室 室長の齋藤より、クックパッドのデータから見える直近の食卓動向や、生活者ニーズの捉え方・考え方を解説しました。


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年明け以降の食卓動向のポイントをこちらの5つにまとめています。

1.土日の楽しみ方は、継続的におうちの中   
一回目の緊急事態宣言ではお菓子やパン作りのニーズが急激に伸びましたが、そのような兆候は少し収まりました。ただ、土日を中心に「おうちで楽しむ」トレンドが継続し続けています。

2.ハレの日はお家で楽しむイベントに変化
同じく「ハレの日」などのイベント事もおうちニーズが継続していますが、どうしても対面でのコミュニケーションを伴うようなもの、直近ですと「バレンタイン」は10代を中心に大きく検索が落ちました。

3.おいしさの発見と利便性の試行錯誤
コロナ禍で調理の頻度や機会が増えたことによって、煮込み時間を長く取れるなど、普段作らない料理へのトライアルがたくさん生まれました。その中で得た発見を、日常の食卓レパートリーにしていくための時短や調理工程の課題解決策に敏感になっている兆候が見られます。その影響として「電気圧力鍋」の検索ニーズが大きく伸長しています。

4.節約意識とお金の使い方
節約に対するストレスや我慢は、年々増加傾向にありました。外食やお出かけが制限される中、先行きの不透明さから、さらにコスパ意識は高まっています。ただしその反面、たまにはいい食材を使って楽しみたいという欲求の結果が検索データでも見られます。

5.健康意識と食習慣の変化
コロナ禍の状況で、風邪を引かない健康的な身体作りの意識が高まっています。朝食を取らなかった若年層が簡単に健康的な食事として取り入れています。免疫力という即効性に注目も集まっていますが、消費者は日常の生活に健康的な食生活を取り入れようとしていると考えます。

生活者ニーズを捉えるとは?

齋藤:日頃、マーケティングに携わる方々は既にご存知かと思いますが、顧客の欲求と満足を探る必要な観点は、消費者の欲求と製品の価値を結びつけることです。

さまざまな分析の考え方がありますが、自社商品の提供価値に対して、生活者にとっての課題は何か、商品に求めているものは何か、という観点が見えづらかったり、どうしても抜け落ちてしまうこともあるのではないかと思います。

そうした中で、クックパッドがご支援できるのは、生活者が抱えている課題や欲求を可視化することです。本日は「カレー」を例にとって簡単にご紹介させていただきます。


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メニュー名の場合は、メニュー別の指標から、生活者が「カレー」をどのように認識し、検索しているかを考えていきます。この表では、5年前に比べて大きく伸長したものが数多くあることがよくわかります。

また、「カレー」と共に検索されているワードを見ていくと、代表的な変化として「トマト」の検索頻度が落ち「トマト缶」が上がっている、という結果が出てきます。


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ここからさらに分析を深堀りしていくと、348万品ある「カレー」の投稿データから、「カレーに使っている材料」や「カレーを作る目的」「カレーの人気レシピの変化」「ユーザーの声の分類化」などをおこなっていくことができます。

そうした結果、生活者がトマト缶を用いる理由や、それに付随したニーズまで可視化することが可能になります。

このような形で、メニューや調味料、材料の関係を一つ一つ見ていくことから生活者ニーズを深堀りしていく、ということを我々はおこなっていまして、メーカー様の商品やマーケティングプランとのマッチングのお手伝いをしております。

それ以外にも、ご提供範囲は非常に広がっておりますので、「こんなことはできる?」というご質問は是非お気軽にお声がけくださいませ。


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コロナ禍での情報発信のポイント

続いて、コネヒト株式会社プロダクト企画室 小椋様より、「ママリ」のデータから見た情報発信のポイントについてお話しいただきました。

小椋:ママリは月間閲覧数1億、ママの3人に1人が使うメディア・Q&Aコミュニティです。妊娠・出産のイメージが強いとは思いますが、その他にも様々なジャンルでユーザーの交流がかわされています。主に妊活中〜3歳の子を持つ方に使っていただいています。

さて、皆さんの顧客でコロナによって顧客に起きた1番大きな変化はなんでしたか?「ママリ」でも顕著に話題になったワードがいくつかあります。

●「入院バッグ」
立ち会い出産や入院中の面会、差し入れがNGとなってしまった中で、「何を準備すべきか」という不安がユーザーから生まれていることがよく分かります。150%ほどの伸びが出ています。

●離乳食 2回 いつから
こちらコロナ前から300%の伸びが生まれています。背景としては両親学級や、離乳食教室、支援センターなど、頼れていた情報源や施設の機能が停止してしまったことがあるかと思います。

こうしたところからも分かる通り、ママリ内での行動変化の背景は「当たり前に頼ることができた人や施設との接点がなくなった」ことにあります。

それを踏まえて、コロナ禍でおこなうべき情報発信のポイントは3つです。

1.標準がわからない
先ほどもお話したように、近所に知り合いが居ない方などは特に、コロナ禍によって情報が入ってくる機会が失われてしまいました。そうした中でメーカー担当者が考えなければいけないことは、従来の顧客が知っている標準的な情報がインプットされていないことです。「今までこうだったから…」というように考えずに、今一度立ち止まって発信する内容を考えていただければと思います。

2.潜在顧客の情報収集軸
ママの悩みで代表的なものとして『「いつから」問題』というものがあります。メインキーワードに「いつから」というキーワードを足した複合検索での質問、検索が非常に多いです。


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このように複合検索をおこなうことで、より深くユーザーの課題がつかめるようになりますので、ママリの検索ボックスに自社商品、商品カテゴリの名称、競合商品を入力し、どのような複合検索ワードが調べられているか是非チェックしてみてください。

3.先輩ママの回答を把握
ママリ内では、ユーザーが具体的な商品のおすすめを聞く「購買前夜」の状態の質問が数多くおこなわれています。こうした状況で、如何に他のユーザーのアンサーで自社商品がおすすめされるかが重要なポイントになります。特に先輩ママのおすすめは超強力なプロモーションに繋がります。

そうしたデータを詳細に参照でき、最新の話題・関心・課題がわかり、自社商品が今どう見られているのかを定量で可視化できるデータダッシュボードをご提供開始予定です。

子育て世代の「買いたいタイミング」と「買わない理由」がわかり、業界最大級の検索ワード、回数、Q&A投稿数の深いデータベースから、リアルな内容を拾うことができます。


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先行導入企業様では、導入によってターゲットセグメントの最適化やクリエイティブ内容の変更など、さまざまな効果のお声をいただいています。

子育て家庭のコロナ禍での悩みや行動変化

最後はクロージングセッション、改めてそれぞれのメディアでのコロナ禍でのユーザーニーズについてお話しました。

齋藤:小椋さんありがとうございました。コロナ禍で著しく増えた悩みは何だったのでしょうか?

小椋:先ほどご紹介した入院バックなどニッチなもの以外ですと、小粒なものが非常に増えた気がします。直接なかなか相談できずに、コミュニケーションが一気にオンラインに移った印象です。

齋藤:なるほど。クックパッドはコロナ禍直後は急激にお菓子作りとパン作りが伸びましたが、そこが緩やかになっていくとともに、ユーザーがデジタルでの情報収集に非常に敏感になり、実際の行動に影響しているように感じました。ママリではいかがでしょうか?

小椋:凄くわかります。デジタルでの情報収集のスピードが非常に高くなったと思います。

齋藤:ママリのデータ、今後提供されるデータダッシュボードで実現したいことはありますか?

小椋:ママリにはさまざまな課題がQ&Aで上がってきて、一時的に解決されていきますが、根本的な解決は商品を提供するメーカーさん・小売店さんだと思っているので、そうした方々がママリのデータを生かして、ママのお困りごとがなくなるような社会を実現していければと思っています。

齋藤:ありがとうございます。我々も同じ考えです。情報が溢れている中で、生活者の課題を解決することが商品の価値になると思うので、引き続きサポートをおこなっていきたいと思っています。

ターゲット層など非常に親和性のあるサービスかと思っていますので、引き続きよろしくお願い致します!



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著者情報

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ヒガシナオキ
BtoB向けWebメディアを運営する会社に新卒で入社し、大手IT企業のメディアを使ったマーケティング支援に携わる。

2019年、クックパッドに法人向けサービスの営業として入社し、社内の営業管理やマーケ施策を並行して推進する中で「FoodClip」の立ち上げに関わり、2020年よりマーケティング専任に。
FoodClipでの担当領域はマーケティング・フードテック周辺。
休日は劇団をやっています。
https://twitter.com/nao181715