多様性への対応、エバラ「黄金の味」の商品戦略

多様性への対応、エバラ「黄金の味」の商品戦略

家庭の食卓で愛され続けるエバラ食品のロングセラー商品「黄金の味」に、昨年32年ぶりとなる新テイストが登場。商品開発の背景や、クックパッドの店頭デジタルサイネージ「cookpad storeTV」を活用した売り場施策などについて、詳しくうかがいました。

お話しをうかがった方

エバラ食品工業株式会社
マーケティング部 販売促進課
小谷 和毅 氏

「黄金の味」32年ぶりの新テイストを発売
商品開発の背景とは?

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ー「黄金の味」は2020年に新テイストを発売したり、焼肉以外にも使える万能調味料としてプロモーションしたりするなど、積極的に新しい取り組みをされている印象でした。コロナ禍でいろいろ想定外な点もあったと思いますが、どのようにコミュニケーションを検討されたのでしょうか?

小谷氏:2020年は「黄金の味」32年ぶりの新テイスト「さわやか檸檬」、今年は新たに「旨にんにく」を発売いたしました。その背景にあるのは「多様化」です。

昨今は、スーパーの店頭に並ぶ肉の種類が多様化しています。例えばホルモンや輸入肉、ラムなど、流通する肉の種類や部位が増えてきました。加えて、濃い味を好む方、さっぱりした味を好む方など、お客様の趣向も多様化しています。

これまでの「黄金の味」の甘口・中辛・辛口の3つのラインアップでも十分おいしいのですが、より多くのお客様のニーズに応えるため、新テイストを発売しました。

主力商品である「黄金の味」シリーズの新商品を発売したので、積極的にプロモーションをしていきたかったのですが、コロナ禍でこれまでと同じような施策をおこなうことができず、広告戦略やその他施策も適宜見直しました。その際心がけたのは「お客様の多様性やニーズに沿ったプロモーション」という視点です。コロナ禍でこれまで以上にお客様のマインドを注視し、訴求するメッセージや接点を修正しました。これまで店頭で実施していた試食販売・宣伝は、実施が困難な状況になりました。そこで、店頭での施策を補うべくテレビCMの放送計画などの変更や、外出自粛によりデジタルコンテンツへの接触機会が増えたことに合わせてデジタル施策を増やすなど、柔軟に対応しています。店頭での宣伝方法が制限されている現在は、クックパッド社の「cookpad storeTV(※)」のような店頭デジタルサイネージを活用した施策にとても期待しています。


※流通店舗メイン導線である生鮮3品(農産・畜産・水産コーナー)に設置する、CookpadTV社オリジナルの店頭サイネージ。現在全国5,500店舗を超えるスーパーなどに約15,000台の設置実績を持つ国内No.1シェア。サイネージでは店舗のMD販売計画と連動した流通販促動画(レシピ動画)と、メーカー広告動画が配信可能。

家庭用肉まわり調味料の2020年度売上げは
前年同期比で4.6%増。家庭内で商品を
使い切っていただくための提案も

ー 食品業界全体として、業務用商品はかなり厳しい状況でしたが、エバラ食品の家庭向け肉まわり調味料群では前年同期比で4.6%伸張していますね。2020年は、新規購入者が増えたのでしょうか、それとも購入頻度が高まったと見ていますか?

小谷氏:外出自粛により家庭内喫食率が増加したことで、家庭向けの商品の売上げは伸張しました。「黄金の味」に関していえば、新商品だけでなく既存品も好調でした。コロナ禍において、家庭での焼肉(おうち焼肉)への関心が高くなったことが要因と考えています。加えて、「さわやか檸檬」は、これまで焼肉のたれを購入されていなかったお客様が購入されている、というデータがあり、購入頻度の高まりと新規購入の両方が影響していると考えています。


ー 商品を一度にまとめてご購入いただけるのは嬉しい一方、家庭内在庫が増えて消費しきれないお客様も多く、その点を心配される調味料メーカーさんも多いと聞きます。

小谷氏:当社としてもその課題に対してご提案すべく「黄金の味」の汎用性を訴求するCMを打ち出し、焼肉以外にも使えることを知っていただくためのプロモーションも展開しました。CM放映期間中だけでなく、放映終了後でも「黄金の味」の売れ行きが好調を維持できましたので、しっかりとお客様に響いたのではないかなと思っています。

これらの汎用メニューを届けるという点で、クックパッド社の「cookpad storeTV」はとても訴求力が高いと思っています。いままさに買い物をしているお客様にダイレクトに情報を届けられますので、今後も活用していきたいと考えています。

全店舗で「cookpad storeTV」を積極的に展開。継続導入している理由と活用事例

ー 先ほどお話に触れていただいた「cookpad storeTV」について、エバラ食品では2018年から設置全店舗でご実施いただいています。サイネージを継続して活用いただいている理由をぜひ教えてください。

小谷氏:継続している理由として一番大きいのは、販売につながる効果的な施策であると実感できているためです。

設置全店舗への配信理由は「黄金の味」の商品特性にあります。この商品はお客様の認知度も高く、取り扱い流通店舗様が多い商品ですので、広範囲に配信することで最大限の効果が得られると考えています。


ー 「cookpad storeTV」を使った施策を通じてチラシ掲載につながったり、調味料売り場だけでなく精肉や野菜売り場などにクロス展開できることで、売上げにつながっているともいえるのでしょうか?


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小谷氏:storeTV施策が「黄金の味」の売上げにつながっている一番大きな理由は、売り場が作れているからだと考えています。店頭サイネージのレシピ動画と流通様が訴求したい生鮮食材が合致し、関連販売につながることがとても大切です。その点、クックパッドは食データを活用したレシピ提案があり、お客様・流通様に寄り添った提案ができていると感じています。

「cookpad storeTV」の実施初年度に某流通様でローストビーフの動画を流したところ、クロス展開していた「黄金の味」が前年比300%、ローストビーフ用ブロック肉は、前年比1200%になったことがあり、非常に有効だということがわかりました。

当社は「自社の商品はお肉(食材)を売るためにある」と考えています。まさにそれが体現できた成功事例のひとつです。流通様の精肉売上げにも貢献でき、win-winの関係になれたのではないかと思っております。


ー 流通様とエバラ食品の商談の中でも「cookpad storeTV」を上手にご活用くださっているのですね。

小谷氏:商談するうえで「cookpad storeTV」はとても大きな武器になっています。例えば「11月29日は“いい肉の日”ですからお肉と一緒に当社の商品を並べてください」と流通様に依頼するときにセットでご提案するなど、販促企画のきっかけ作りとしても、とても強い支援ツールになっています。


ー 「cookpad storeTV」の再生回数のデータなど提示させていただいていますが、エバラ食品としては、チラシへの掲載であったり、売り場展開につながったりといったことが、より重要な指標になるということですよね。

小谷氏:再生回数が上がったから売上げにつながったという相関関係は出し切れていないところがあります。そのため、先ほどお話した流通様へのご提案などの際には、「cookpad storeTV」の提案がチラシ掲載や売場展開につながることが重要になります。その一方で、販促施策を検討・提案する我々にとって、再生回数データは重要な指標となっています。

2021年、エバラ食品が目指している挑戦とは?

ー 2021年に考えていらっしゃる新たな取り組み、中長期的に挑戦しようということがあれば教えてください。

小谷氏:いまだコロナの収束は見えず、先行き不透明な状況が続くと考えています。このような状況下においても、お客様のマインドを汲み取った施策に注力していきたいと考えています。

そのためにも、情報をお届けしたい方に最適なツールを選び、ターゲットに寄り添ったプロモーション展開をする必要があります。テレビCMは広いマスに対して情報を投下できますが、お届けしきれていないところもありますので、買い物中のお客様に必要な情報を届けられる店頭での「cookpad storeTV」を有効活用していきたいです。

取材を終えて

どんな状況であっても、常にお客様のマインドを捉えてまっすぐな熱量で向き合っていく。エバラ食品のその変わらない姿勢が、日本の食卓で愛されるロングセラー商品を生み出した神髄なのだと感じました。

「cookpad storeTV」をはじめクックパッドのサービスが、新たな施策により役立つツールとなるよう、今後もさらに精度を高めてご提案をしていきたいと思います。


「cookpad storeTV」について、こちらの記事も合わせてお読みください
https://foodclip.cookpad.com/5918/



writing support:Miyuki Yajima



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