ニトリがファミレス業態に挑戦。郊外への出店も視野に

ニトリがファミレス業態に挑戦。郊外への出店も視野に

2021年3月に飲食店舗「ニトリダイニング みんなのグリル」がオープンしました。運営はニトリのデザイン事業などを手がけ、FC形態での飲食事業を展開してきた株式会社ニトリパブリック。同社で初めてとなる独自のファミレス業態で「お、ねだん以上。」の料理をコンセプトにニトリを訪れるファミリー層に向けて提供しています。なぜ今ファミレスなのか、ニトリのノウハウをどこに生かしているのか、外食事業部マネジャーの小林 純 氏にたっぷりうかがいました。

お話をうかがった方

株式会社ニトリパブリック
外食事業部マネジャー
小林 純 氏

飲食事業の参入はFC店舗がはじまり

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ー 以前から、ニトリパブリックでは飲食店を手がけられていたんですよね?

ニトリでは衣食住を取り扱っていきたいという構想があり、数年前から北海道小樽の銀鱗荘などの飲食店を運営していました。

その後、ニトリの大型店舗の近くに小型店ができる過程でお客さまが分散し、大型店舗の駐車場に利用していた土地に余裕ができたことをきっかけに、大型店舗の横にテナントとして飲食店がオープンしはじめました。当時、テナントとして入っていた某ステーキ店のフランチャイザーからフランチャイジーとして展開しないかとお話をいただき、3年ほど前にFC店を3店舗立ち上げたんです。

ー そこから「ニトリ みんなのダイニング」を構想しはじめたのはいつ頃でしょうか?

コロナ禍になってからですね。FC店舗のうち、2店舗が閉店を余儀なくされ、空いたスペースを何に使うか議論するうちに、ニトリの新しい業態にチャレンジする話が持ち上がったんです。FC店は運営する中でどうしても縛りがあり、自社のチェーンストア理論が発揮できないジレンマがありました。それでは、自分たちでやってみようとなったんです。閉店が決まってから具体的に考えはじめて、情勢が変わる中でのスタートだったので、なかなか苦労しました。

ファストフードとファミレスの
いいとこ取りでファミリー層を狙う

ー 最初からファミレス業態にチャレンジされると決まっていたのですか?

いえ、年末まではラーメン店、ステーキ店などいくつか案がある状態でした。可能な限り、既存の設備を流用しつつ、ニトリへご来店いただくお客さまに喜んでいただける業態を考えた結果、ファミレスが一番だろうと。

今運営している環七梅島店、相模原店の店舗面積はいずれも40坪ほどとファミレスの中ではコンパクトな作り。メニューはファミレスらしさを保ちながら持ち帰り需要も考慮しています。ファストファミレスと呼んでいるのですが、言うなればファストフードとファミレスの間のようなイメージの業態です。

ー ファミレスもファストフードもファミリー層を重視されていますものね。メニューはどのように選定されたのでしょうか?

やはり、ニトリらしく価格を抑えて「お、ねだん以上。」の味わいでお客さまに喜んでいただくのが大前提。ご時世もあり、おいしいもので元気になって帰っていただきたいという想いもありました。レギュラーメニューが10品、季節の差し込みメニューが3品ほどで構成し、メインにニトリの定番の人気商品でもあるスキレットを使用した「チキンステーキ」と「チキングラタン」と「ダッチベイビー」を据えました。複数のメニューを組み合わせたコンボも数種類作りたかったのですが、メニューを増やしすぎるのも良くないので2種類にしました。


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「チキンステーキ」「チキングラタン」「ダッチベイビー」

ニトリのノウハウを盛り込んだメニュー構成

ー メニューを絞り込むのにも理由がありそうですね。

ニトリにはショートタイムショッピングという、お客さまが悩まずにほしいものを選べる店づくりのノウハウがあります。更にメニュー数を少なくした方が作業の効率化が図れ、ロスも起こりにくい。その分、ひとつひとつのメニューのクオリティアップに注力できます。加えて、調理器具などを扱うニトリの技術を転用して、初めて来たアルバイトでもすぐに働けるようオペレーションの簡略化を図っています。

ー これまでの知見が詰まったお店なのですね。メニューのクオリティにも自信があるとお聞きしています。

いえいえ、とんでもございません。新しい挑戦なので悪戦苦闘しながら、山積している課題に取り組んでおります。実は似鳥会長が全てのメニューを試食しており、最終OKがないとレギュラーメニューにできません。最初の試食会は思い出したくないほど散々な結果でしたが、我々が運営する北海道小樽の「銀鱗荘」のシェフにアドバイスをもらい、なんとか今の形に仕上げました。

一番人気の「チキンステーキ」はワンコインで提供するために、安くて旨味のある素材を吟味するところからはじまりました。調理時間を短くした上で、おいしそうな焼き目をつけるのに苦労しましたね。一番最後に決まった「チキングラタン」はホワイトソースの濃厚さはオープンのギリギリまで調整をおこないました。おかげさまでニトリにご来店くださるお客さまにも好評を得ています。

お客さま第一で動く、改善スピードが強み

ー コロナ禍の閉店で時間のない中、新事業の立ち上げからメニュー開発まで。すごいスピード感です。

毎度ギリギリですが、このスピードがないと生まれなかったお店ではありますね。ただ、メニューのブラッシュアップはまだまだ終わっていません。まだオープン間もないですが、オープン前から会長にハンバーグが課題だと指摘されており、味の改善に取り組んでいました。先日やっとOKが出たのですが、現状の700円から値段を下げて600円で出そうという結論に。こうしたクオリティに関するこだわりと、それを磨き上げるスピード感はニトリの強みですね。

ー それに対応する体制が整っているのも、さすがです。お店にうかがった際も大盛況でしたが、現状の売上はいかがでしょうか?

想定よりも上振れしている状態です。お客さまは30分くらいの滞在時間で客単価は1,000円以下です。全体の1割くらいがお持ち帰りで、やはりニトリにいらっしゃるお客さまが多いですね。

ー 飲食事業を立ち上げられたのは、ニトリの来店頻度を上げる目的もあるのでしょうか?

客数を大幅にアップさせる!など大それたことは言えませんが、ニトリとみんなのグリルで相乗効果が見込めると嬉しいですね。

ー 今後の展望についてお聞かせください。

今は他の飲食事業なども考えておらず、この2店舗で飲食のベースを作っていくのが第一。ニトリの郊外店へ新たに出店できたらいいなと考えています。皆さんに認知されて、「ニトリダイニング みんなのグリル」が家の近くに欲しいと言っていただくのが目標ですね。

「お、ねだん以上」にひたすら向き合う姿勢があってこそ誕生した「ニトリダイニング みんなのグリル」には、ニトリの意志が脈々と流れていました。夏には新メニューや楽しい企画も予定しているとのことです。お楽しみに。



writing support:Akira Fukui



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